強奪 箱根駅伝2009年02月07日

強奪 箱根駅伝 (新潮文庫)
安東 能明
新潮社
売り上げランキング: 19614

今更だが、今年の正月休み中に読んだサスペンス小説の話。
実はこの本、他に何冊かの本をまとめ買いした際に、その抱き合わせのように、「なんとなく」買った1冊だった。
「タイトルはありきたりな感じがするしなぁ(でも考えてみると、「強奪」と「箱根駅伝」って言葉は普通じゃ絶対に繋がらない言葉で、ここにこの小説の核心が潜んでいるのだけど)。棚に戻すかどうしようか」と思いつつも、とりあえず買った本・・・と言うわけで、実は半年以上前に入手していながら正月休みまで放置していた本だったのだ。
だが今回帰省する際に、乗物の中で読む本をと思い、本棚から何気なく手に取り、「正月と言えば箱根駅伝だし、今読むのってタイムリーかもな」ってな感じで鞄に入れ、空港へ向かう列車の中で読み始めたのだ。で、気が付いてみたら読むのを止められなくなって、その日夜中までかかって一気読みしてしまっていた。

話の展開はとっても映像的。
「箱根駅伝」って実はほとんど見ることがないんだけど、なんだか不覚にもラストシーン近くではジーンとしてしまって、「今年は箱根駅伝を絶対テレビで観戦するぞ!」ってな気になってしまった。
ちなみにいい年して、僕は涙もろい。
映画でもドラマでも、そして小説でも、泣けるシーンになると「おじさん泣いちゃうぞ!」ってな気分になってしまう。単純な「悲しみ」とか「不幸」を謳いあげるようなシーンではそれほどでもないのだが、逆境から立ち直ろうとする「姿勢」とか、「希望」や「再生」に立ち向って行くようなシーンには、心揺さぶられてしまうのだ。
そんな意味ではストーリーがどうこう、リアリティがどうこうなどというのは野暮。そんな理屈は吹き飛んで、心揺さぶるエンターティンメントとして、一級の小説だと僕は思った。

読み終わって2日後の飲み会の席。
本好きの友人に「箱根駅伝見る前に、絶対読まなきゃ!」と、無理やり押し付けた1冊だった。

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