リオ―警視庁強行犯係・樋口顕2009年02月10日

リオ―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)
今野 敏
新潮社
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またまた本の話で、今回は先週読み終わった本。
タイトルは「リオ―警視庁強行犯係・樋口顕」。タイトルから想像できるとおり、警察ものの小説だが、この作家の書く警察小説は、リアルさと人間の「こころ」「思い」の奥深さが感じられて、好きな作家の一人だ。もっとも「リアル」と言っても本当の刑事や警察の世界を知っているわけではないので、僕が想像するリアルさなのだけど。

そもそもが「リアルかどうか」ということは、「事実に近いかどうか」ではないと、僕は思っている。
全体を通すと破たんしている小説は別にして、現実感を与えることに成功している小説は、それがまったくの空想の産物だとしても、それはリアルな小説。その意味では、この小説はリアルさを十分に発揮している小説だと感じている。そしてまたこのリアルさが、人物の一人一人に奥深さを感じさせてくれて、単なる謎解きでもなく活劇でもない、この小説を普通のミステリー小説とは違う次元の小説にしてくれていると思う。

この「樋口顕」を主人公にした小説のシリーズは、文庫本で3冊刊行されている。
この「リオ」が1作目で、2作目が「朱夏」、3作目が「ビート」と続くのだが、実は僕は3作目、2作目と進み、最後にこのリオと、刊行順序とは逆に読んだ(入手した順番がたまたまそうだっただけで、他に理由はない)。
当然面白いと感じられたから3冊ともに読んだわけだし、主になる登場人物は同じでもストーリーに直接の繋がりがあるわけでもないから、逆から読んでも別に問題はないのだが、やっぱり順番に読んだ方が良かったかも。ストーリーを追う上での前提知識が期待感を膨らませてくれる効果があると思うから。

今野敏さんの警察小説には他のシリーズもあり、そちらもお薦めしておきます。