晩秋の洞爺湖へ(2)有珠山編2011年11月12日

前回の(1)温泉編からの続きです。

洞爺湖温泉街の背後には、有珠山や昭和新山と言う活火山があります。
この有珠山と言う山は2000年に大噴火を起こし、洞爺湖温泉のすぐ裏手の住宅にも被害を及ぼしたということで強く印象に残っている人も多いことと思います。
このときは事前の準備で住人の避難が完了していて、一人の犠牲者も出さなかったという素晴らしい対応がされたわけですが、その噴火の爪痕は今でも残されています。例えば僕が到着したバスターミナルの裏手からすぐの場所には、熱泥流に襲われた建築物がそのまま遺構として保存されていて、自然災害の凄まじさを実感させてくれます。

金毘羅火口災害遺構

この有珠山の噴火ですが、実は2000年のひとつ前、1977年の噴火に僕は遭遇しています。
ちょうど夏休みを利用して友人と二人、親戚の家を泊まり歩いていたのですが、噴火当日に親戚が運転する車でこの洞爺湖に向かっている最中に前方に高々と上がる噴煙を見つけ、しかもそれが急速に大きくなり、空全体が灰色と黒が入り混じったような色へと変わり、気が付くと車のボンネットに何センチもの厚みで火山灰が降り積もる・・・そんな経験でした。
もちろんその時はとても先に進める状況ではなく途中で引き返すことになったのですが、そのときに見たすさまじい噴煙と猛烈に降り注ぐ火山灰は今でも忘れられない光景です。
後になってから知った話ですが、このときは事前に避難勧告などが出ていなかったため、洞爺湖温泉街は逃げ惑う人でパニック状態になったのだとか。2000年の噴火で1万人を超える住人が整然と避難できたのは、もちろん火山噴火予知の精度向上も大きいのでしょうが、このときの経験もきっと生きているのでは?と思います。
大きな災害を及ぼす有珠山ですが、平時はそれが重要な観光資源の一つであることは確か。洞爺湖の温泉にしてもこの火山のおかげとも言えるわけで、一定周期で噴火を繰り返す厄介な活火山ではありますが、共存することで観光地として成り立ってきたとも言えるのかも知れません。

さてそんな縁もあって、今回洞爺湖を訪れたら是非にと考えていたことが、「有珠山の火口を見る」ということでした。ところがこの時期、洞爺湖温泉から有珠山ロープウェイへ向かう路線バスは冬季運休に入っています(10月半ばで終了)。
確かに紅葉の時期を過ぎたら、観光客はグッと減ってしまうでしょうし、そもそもほとんどの観光客が自家用車か、ツアーバスです。一人二人の客をアテにして運行していたら赤字でしょうからねぇ・・・残念だけど。
と言うわけで、やむを得ず今回は主義に反しますが、タクシーで有珠山ロープウエイ乗り場まで向かうことにしました。幸い「とくとくタクシープラン」と言う、温泉街からのタクシー往復とロープウェイ券、その他割引券がセットになったお得なプランがあり、それを利用することにして札幌を出発するときに予約を入れておきました。
で、(1)温泉編の最初の方に書いたとおりに、バスが到着したらタクシーが待ち構えていたというわけです。

さて有珠山ロープウェイに乗る前に、まずは割引券を使って腹ごしらえ。腹ごしらえの後は、昭和新山を見学・・・と言っても、昭和新山も活火山で、しかも私有地のため、下から眺めるだけです。
何枚か写真を撮った後、いよいよロープウェイ乗り場に向かいます。
ここからは写真を中心に。

【昭和新山】
1944年から45年に掛けての噴火で溶岩ドームが盛り上がって形成されたのが昭和新山。
初めて気が付きましたが、ちょうど太平洋戦争の真っただ中ですね。当時はどのように報道がされたのか気になりますね。
昭和新山

【ロープウェイを降りてすぐの展望台】
先ほど下から見上げていた昭和新山を、今度は上から見下ろしています。
左手に洞爺湖が、右手には噴火湾が広がっています。ダイナミックな風景を楽しめる観光ポイントだと思います。
展望台から洞爺湖と昭和新山

【有珠山の火口】
先ほどの展望台から少し歩くと、今度は有珠山火口の展望台に到着します。
荒涼とした風景のあちこちから水蒸気の噴煙を上げています。
有珠山の火口

【東屋まで】
ここで引き返すのが一般的ですが、せっかくなので展望台から急な階段を一気に下って、先に見える東屋を目指すことにします。
「登山装備が不十分な人はここから引き返せ。怪我しても責任は持たないよ」ってなことが書かれた立看板が立っていますが、確かにもっともな警告であり、東屋まで行って戻るだけでもそれなりの体力は必要です。今回は登山靴ではありませんが、今日はピーカンとも言える良い天気。しっかりした靴も履いていますし、背中のザックの中にペットボトルの水なども入っていますので、先に進むことにしたわけです。
東屋近くからの有珠山火口

【東屋からの火口】
振り返ると洞爺町の町並み。
まさにパノラマ的な風景という気がします。
洞爺町と噴火湾

【終着点】
やや霞んだ視線の先に、後方羊蹄山。
別の登山口から登ってきたのだろう、登山客が何人も休息しています。
僕もまた、しばし休息してから来た道をまた戻ることにしました。
洞爺湖と後方羊蹄山

再び急な階段を上りきって展望台まで戻った時には息は上がり、汗だくの状態です。
ロープウェイを降りると、すでにタクシーが待っていてくれました。約束の時間にはやや早かったのですが、ちょうど別のお客さんを乗せて来たのだそうで、タイミングが良かったようです。
そのまままっすぐ今日の宿へ向かってもらうことにしました。う~ん、楽チンこの上ありません。なんだか日頃の主義なんぞ忘れてしまいそう・・・でも貧乏症の僕だから、きっとそれはないな(笑)

と言うわけで、(2)有珠山編は終わりです。
いよいよラスト、(3)湖編です。


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