晩秋の洞爺湖へ (1)温泉編2011年11月11日


洞爺山水ホテル和風

先週のことですが、洞爺湖温泉で1泊してきました。
そのときのことを「温泉編」と「有珠山編」、そして「湖編」の三つに分けて記事にしたいと思います。と言うわけで、まずは温泉編から。

秋も深まり、「どこか温泉にでも出かけようか」と考え、思いついたのが洞爺湖でした。
これまでにも何度か洞爺湖を訪れたことはあるのですが、毎回日帰りばかりだったことを思い出し、ならば"ゆっくりまったり"と一晩を、洞爺湖で過ごしてみようと考えたわけです。
二年ほど前にサミットの開催地となったことで知名度は確実に上がったはずで、昨年は開湯百年という節目を迎えた洞爺湖温泉なのですが、湖畔に並び建つ大きな旅館が「閉館」や「一時休業」など、何やら寂しい雰囲気が続いているとのこと。今年は東日本大震災の影響で海外からの旅行客も減少し、その影響も大きいようです。
かつては北海道内でも人気の上位を占める観光地だっただけに、現在の状況が余計に寂しさを感じさせるのかも知れません。
でも逆に言えば、リーズナブルな宿泊料金で静かな時間を堪能できるチャンスでもあるわけで、身勝手な一観光客の立場からすると、それが魅力とも思えるのです。
と言うわけで、札幌からの路線バスで洞爺湖温泉へと向かうことにしました。

道南バスが運行する長距離路線バスは札幌駅前のターミナルを出発し、定山渓温泉、中山峠(ここから展望する後方羊蹄山は特に美しい)、一大リゾートのルスツ高原を抜けて洞爺湖温泉へ到着します。
すべて一般道を走り続けて約2時間半ほど。路線バスとして考えると、なかなかの長距離路線です。途中の中山峠で10分ほどトイレ休憩があるあたりも珍しいかも。そのおかげで、バスを降りて後方羊蹄山をゆっくり望むことができます(写真参照)。
洞爺湖温泉ターミナルでは、あらかじめ予約を入れておいたタクシーが待っていてくれましたが、この話は(2)有珠山編で。有珠山から戻ってきて、ひとまず旅館にチェックインしたところから。

中山峠から後方羊蹄山(通称、蝦夷富士です)

今回宿泊した旅館は洞爺湖温泉の中でも老舗の旅館「洞爺山水ホテル和風」を利用させていただきました。ちなみに"和風"は"かふう"と読ませるようです。
湖畔から少し奥に入っていることもあり、湖畔に面して並び建つ大旅館に湖が隠されてしまい、やや残念な立地ですが、その代り落ち着きと居心地の良さを感じさせてくれる宿でした。
実はそんなことも良く解らないまま、団体客が少なくて落ち着けそうな宿でリーズナブルな宿を・・・と探し、その中で気に留まった宿を予約したのですが、我が家の近所の居酒屋のマスターにたまたまそんな話をしたところ、「洞爺湖でも一押し」の宿とのことでした。自分の選択眼を褒めてあげたい気分(笑)
そう言われると期待も膨らみます。実はやけにリーズナブルな料金設定だったので、「あんまり期待をしないように」と思いつつ、クチコミを見てみたのですが賛否両論。ただ楽天トラベルのアワードを連続受賞しているとのことで、賛否両論の「賛」に期待を掛けていたのです。

と言うわけで、宿の感想など。

<宿>

確かにこじんまり感がする宿で、付帯設備もあっさりとしてはいましたが、僕のような一人旅や少人数のグループには却ってその方が落ち着けるような気がします。逆に言えば小さな子供を連れた家族連れ向きではないかも知れません。
部屋は、たぶん予約プランよりも広い部屋に通して頂けたと思います。高級感は感じませんでしたが、リニューアルした後なのか部屋は清潔で、僕としては十分に満足。
最上階(5階)だったためか、窓からは湖を少しだけ望むこともできました。
どんなにゴージャスな内装や設備でも、清潔感が無かったり、老朽化が補修もされないままの状態で目立つようでは、その宿の印象はあまり良くなりません。少なくともこの宿は、そうした点での不満を感じない宿でした。

<温泉>

そもそも温泉目的で来たのですから、温泉だけは譲れません。
この宿の浴槽は内湯と露天風呂の二つだけで、それほど大きくはありませんが、たまたま入浴した時間帯が良かったのか、それほど混雑を感じず、まったく不満なし。
いや不満どころか温泉そのものは、いまどき清く正しく"源泉かけ流し"ですから最高です。
温泉らしさが際立つ濁り湯で、特に露天風呂の温度が適温だったためか、長く浸かっていることができるのです。浴室内の照明も比較的明るいのもいい感じ。
広すぎる浴槽~例えばプールのような大浴槽を維持管理するために、加水したり、循環したりする宿が多い昨今、「もう一度温泉の原点を考えて欲しいよな」などと思ったりすることが多々あるわけですが、この点については文句なく「この宿を選んで正解!」と感じました。

<食事>

最近ではコスト低減のためにバイキング形式の夕食が増えましたが、ここは低料金にも関わらず部屋食でした。
夕食はごく普通の料理という感じ。ご馳走感はあまりまんじませんでした。ただ地産地消に拘った素材を使った料理の品数は多く、ここでもまた不満はありませんでした。若干ボリュームが少な目かもと感じましたが、現在ダイエットを心掛けているボクには、これでも食べすぎかも。

「こりゃ凄いな」と思ったのが、朝食です。
朝食は場所を選択できましたので、気分を変えようと食事処を選択。
セットされたメニューに加え、地元洞爺町産の温野菜を好きなだけ自分で取り分けて食べることができました。思わず仲居さんに「凄いですね」と声を掛けてしまったくらい。
朝から品数も多く、そのまんま朝食メニューが夕食メニューになったとしても、メインデッシュを入れ替えてくれるくらいで満足できそうです。

ただし、追加料理や飲み物については、通常の旅館一般の価格に比べてかなり割高感を感じる設定でした。まあロビー階の売店や自販機まで足を運べば一般的な旅館価格で購入できますので、ちょっとだけ足を運べばよいわけですが。

<サービス>

接客マナーはクチコミで賛否が分かれていたのですが、僕は運が良かったのか、あるいは様々なクチコミを見て改善を心掛けていらっしゃるのか、非常に気持ちの良い応対をしてもらえました。
朝すれ違ったら「おはようございます」と声を掛けられ、チェックアウトの際にエレベータを待っていたら「お発ちですか。どうぞお気を付けて」と声を掛けられ、そうしたささやかな心遣いが宿の印象を各段に良くしてくれるのだと、あらためて感じさせてくれました。

と言うわけで・・・・なんだか褒めすぎな感じもしないではありませんが、リーズナブルでありながら気持ちが良い・・・・少なくとも僕が今年泊まった宿の中では一番満足度の高い宿でした。

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以上で(1)温泉編は終わりです。
「晩秋の洞爺湖へ (2)有珠山編」へと続きます。