それでも、警官は微笑う2009年03月04日

それでも、警官は微笑う (講談社文庫)
日明 恩
講談社
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警察小説が好きだ。
警察という、僕も含めた一般人にはよくわからない組織だからこその面白さ・・・そんな理由もあるかも知れない。実際には、元警察官の知人などに訊いてもかなり現実は違うようだが、別に現実に即していなくてもよいのだ。いやむしろ小説だからこそ、大ウソがあたかも現実のことのように描かれている方がより楽しめる。

この小説もそんな警察小説のひとつ。
読んでいて「本物の警察もきっとこうだろう」とはこれっぽっちも思わなかったけれど、登場人物がイキイキとしていた。そんな小説を読むのは楽しい。
しかも犯人は別にして、主要な登場人物が基本的に「イイ人」で「優しい」。キャラクター設定も明確だし、だから安心して落ち着いた気分でストーリーが追える。
正直言えば荒削りだったり、描き切れていないよなと感じる部分もあったのだが、そうした細かいことが気にならずに読める、面白い警察小説だった。

なんとなく気持ちがふさぐようなとき。
そんな日こそ、「殺人事件」で「凶悪犯」が登場する小説なのに、なぜか優しく前向きな気分になれる、こんな小説がお薦めかも。