【映画】孤高のメス2010年06月06日


たまたまテレビで見た映画の予告番組で興味を持ち、封切されてすぐに見に行ったのが、この映画。

映画に限らずドラマや小説などでもそうなのですが、自分の職業や生活から一番遠い「刑事」とか「医者」とか、そうした特殊な分野がテーマとして設定されたものが昔からお気に入り。身近過ぎる分野では、リアリティの点で不満を覚えたりもしますし、また逆にリアル過ぎて、時として辛い気分を感じたりもしますので。

この映画はタイトルで解るとおり、命に対して真摯に立ち向かう優秀な外科医を主人公にした映画です。
最初は冷ややかな目で見ていた周りの人たちも、そんな主人公の姿勢に少しずつ感化され、変わって行き、やがてクライマックスへ・・・命への向き合い方を見る者へ問いかける、そんな映画です。

ストーリーに破綻もなく、命という重いテーマを上手く仕立て、エンディングへ結実させるあたり、とても丁寧な映画だという気がしましたが、やや地味な作りで映画的なインパクトにも少々欠けるとも言えるかも知れません。ただ逆にいえば、派手さを抑えた作りが出演陣の演技力と相まって、テレビのスペシャルドラマなどとは異なる空気を生み出してくれている印象も感じさせてくれました。

見終わって、昨年見た「沈まぬ太陽」以来の充足感を感じた映画であることは確か。数年後テレビ放映されたら、ぜひまた見てみたいと思う映画でした。


滝川・菜の花畑の道2010年06月12日


滝川の駅構内から

たまたま見ていたフジテレビの朝のワイドショー「とくダネ!」で、北海道滝川市の「菜の花祭り」の様子が放映されていました。
実はそれまで同じ北海道で暮らしていながら、この滝川が菜の花畑で有名な町ということを知りませんでした。
味付ジンギスカンで有名な「松尾ジンギスカン」の本店があり、僕の中では滝川といえば、ジンギスカンの町というイメージ。こりゃ勉強不足ですねぇ・・・。
という訳で、「菜の花祭りを見に行こう!」と滝川へ向かいました。

札幌から滝川までは、JRの普通列車で。このブログでも何度か記事にしている「一日散歩きっぷ」の利用です。
以前より若干値上げされましたがまだまだお得感のある切符で、通常なら3,200円掛かる運賃が、2,200円で済みますので利用しない手はありません。もっとも時間に余裕がある人向けの切符ですが。

さて滝川駅到着。
一応、菜の花祭りの公式?ホームページで、観光地図をダウンロードしてきましたが、この地図、ほとんど役に立ちません。
観光地図だから縮尺がいい加減なのはともかくも(僕は一応専攻が地理だったくらいで、本当は縮尺も気になりますが)、情報があまりにも不足しています。完全に「車で来る人のため」の地図で、交通の案内などは皆無。
同じ列車できた中高年の方たちも困った様子でしたが、観光案内所で情報収集したようです。

菜の花畑が見えた

僕はといえば、いつものごとく、あてずっぽうに駅前から歩き始めます。滝川の町を歩くのは初めてなので、どんな町なのか歩いてみようかと・・・でも、これが大誤算。この観光地図ではかなりの距離を省略しているようで、市街地を抜け、郊外の住宅街を抜けても、まったく菜の花畑らしき風景は見えてきません。歩けども歩けども、なんとなく殺風景な感じのする風景が続くだけ。
メインの見どころの丸加高原は歩いて行ける距離ではないことは承知していましたが、僕はむしろ普通の風景の中に広がる菜の花畑がみたいと思っていたので、だから駅から歩いていけるだろうと安易に考えてしまったのです。これは僕の調査不足でした。
おまけに役に立たないと言いながらも唯一の情報源だった観光地図も、ポケットから出し入れしているうちに、どこかで落としてしまったようです・・・・トホホホ。どこまで歩けば何があるのかも、本当にわからなくなってしまいました。

「最初に菜の花畑が見えるところまでをゴールにしよう」。
そう励まし励まし、歩くことおよそ1時間半。ようやく遠くに黄色の広がりが見えてきました。でも見えてからも、なかなか近づきません。
初夏の日差しが今日は厳しく、すでに汗だく状態です。デイパックのポケットに差し込んだミネラルウォーターもぬるま湯に変わっています。
帰りに温泉に寄るつもりで着替えを持って来たことだけが不幸中の幸いでしょうか・・・。

とりあえず菜の花でいっぱい

という訳で、とりあえず菜の花畑を見ることができたところで力尽きました。帰りは路線バスで滝川駅に戻ります。

待つこと10分、走り始めて15分くらいであっという間に滝川駅へ戻ってきました。
駅前の店でよく冷えた生ビールと名物のジンギスカンを食べたら、なんだか疲れがドッと出て、途中下車して温泉に立ち寄る気分ではなくなってしまいました。結局はまっすぐ札幌へ戻ることに・・・。
まさにこのブログのタイトル通りの、行き当たりばったり旅になってしまった1日でした。

【映画】告白2010年06月20日

またまた映画の話。

この映画、昨年本屋大賞を受賞した湊かなえさんの同名小説が原作。
この原作本、読みたいと思いつつも実はまだ読んでいません。読んではいませんが、この本屋大賞を受賞する本にはいわゆる「はずれ」がほとんどありません。本好きの書店員が心底「こりゃ面白い!ぜひお客に読んでほしい!」と思う本が選ばれるのだから当然といえば当然かも。権威ある文学賞はたくさんありますが、「面白さ」という意味では一番信頼性が高いかもしれません。

おっと、映画の話でした。
で、そんなわけでこの映画がどの程度原作に沿っているのかは解りませんが、映画も話題性が高く、気になっていた映画でした。

さて簡単な感想を。
一言で言えば、インパクトのある映画です。かなりショッキングで心理の奥底で恐怖感を感じる映画ともいえるかも知れません。静かなトーンでストーリーが進むだけに、余計にその印象を強く感じます。
でもそれだけに映画だからこそ描ける映像であり、ストーリーという気がしました。
ただ正直言えば後味はかなり悪い(エンディングの出来が悪いという意味ではなく)ので、少々見終わった後に尾を引く感じ。
このあたり、賛否が分かれる感じかも・・・・そんな感じがしています。

こりゃ、やっぱり原作を読んでみる必要ありそうです。

【映画】マイレージマイライフ2010年06月26日

このところ、映画の話題を続けていますので、せっかくなので、3月頃に見た映画ですが記事にしようと思います。題名は「マイレージマイライフ」。

この映画、ゴールデングローブ賞の最優秀脚本賞を受賞し、アカデミー賞の各賞にいくつもノミネートされたりと話題の映画だったのですが、個人的に一番興味があったのが、そのドラマの設定。「マイルを集めることが生きがいの中年男」と言う主人公の設定に共感めいたものを感じたりもして、見に行ったわけです。
ちなみに主人公の職業は、企業のリストラ会社のリストラ宣告人・・・これは先日NHKでもドラマ化され、このブログでも以前記事にした「君たちに明日はない」(垣根涼介著)に通ずる感じも。アメリカでは、リストラ代行会社って一般的なんでしょうか?

なかなか新鮮な舞台設定ですし、ドラマ的な要素もたくさんあります。その意味での脚本賞受賞だったのかもしれませんが、全体的なストーリーに対する印象は、正直に言うと物足りない感じ。
なんだかどこかで見たことのあるような、ありがちのエピソードがクライマックスへそのまま繋がるとは・・・この先どうなるのだろう?まさかありきたりの予想通りの展開ってことはないよな?と思いつつ見ていたのですが、結局そのままエンディングへ・・・最後までヒネリはありませんでした。
せっかくの舞台設定やドラマ的要素が、なんだか活かされないままで終わってしまったようで、物足りなさを感じてしまったのです。
繰り返しになりますが、最優秀脚本賞を受賞している映画です。だから僕の感性が他の人とズレているのか、あるいは日本人とアメリカ人の感性の違いなのか・・・(たぶん前者なんでしょうけど)。

まあストーリー的に破綻なくまとめあげた感じは、アメリカ映画らしいといえばらしいと言えるのかも知れませんね。
それに主演のジョージクルーニーの演技はさすがと思わせるものでしたし、クルーニーの部下役で早口のセリフ回しが印象的だったアナケンドリックが、なかなかチャーミングだったことは確かです。