ラジオと過ごした時間2009年04月09日

「ラジオが壊れてさ」。いつもの居酒屋でマスターが言っていた。
今まで店で使っていたラジオが使用開始何十年目かにして壊れ(こりゃ寿命だね)、代わりに奥さんが自宅で使っていたラジオを店に持って来たらしい。
「じゃあ代わりのラジオが必要でしょ?」。いつもベッドで寝ながら聴いているのだそうで「ああ、それで代わりのラジオを買えって言われてる」との返事。
「普通の小型のラジオでいいんでしょ?ポケットに入れようと思えば入れられるような。確かウチに使っていないラジオが何台か転がっていたと思うので、持ってこようか?」。
僕は、ポータブルラジオを必要以上に持っている。
通勤中に聴くことも多かったし、テント泊で山へ行くときにも必需品として持ち歩いていたので、気が付くといつの間にか増えていた。

最近ではラジオを聴く機会そのものが少なくなっている。
家にいる時だと、FM放送をBGM代わりに聴くくらいだが、そんな時はラジカセやコンポなど、据え置き型のラジオの登場となるので、ポータブルタイプのラジオが登場する機会はない。
通勤中も、今では乗車時間が10分足らずだし、そもそもが地下鉄なのでラジオを聴こうという発想すらない。
旅に出た時には、乗物の中でポータブルオーディオの音楽に飽きた時にラジオを聴くことはあるが、それはポータブルオーディオに内蔵されているラジオで、わざわざ別にラジオを持って行くわけではないのだ。
そう考えると何台もポータブルラジオを持っていても、宝の持ち腐れ。山へ行くときや非常用に1台ないし2台あれば十分だ。

ラジオを一番聴いていたのは、いつの頃だろう・・・。思い返すと、初めて自分専用のラジオを手に入れたのが中学1年生の頃だったと思う。
深夜にこっそりラジオを聴いて、その夜ふかしする自分にちょっぴり大人になったような錯覚を持っていた。
そう言えばBCL(Braod Casting Listner)という、海外の短波放送を聴取する趣味が流行ったのも、この頃だったと思う。
雑音の狭間で遠い外国からの日本語放送が聞こえてくると、思わず叫びたくなるほど嬉しかったことを思い出す。
受信感度や感想などを書いて放送局へハガキを送ると、折り返し絵葉書や記念品(バッチなど)がAirMailで送られてきて、それもまた、少しだけ大人に近づけたような気分にさせてくれた。
そんなことをラジオを手にしながら思い出す。

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数日たってマスターに「ラジオ持ってきましたよ」と手渡す。
ちょうど奥さんもいた。
スイッチを入れると、ポータブルラジオ特有の、軽い、高音に寄った音が流れ始める。「なんだか、古いけど懐かしい音がするのよね、こういうタイプのラジオって」と奥さん。

確かに。レトロ感タップリで懐かしい音がラジオから流れ出す。
ここでもまた、初めてラジオと出会い、過ごした頃の時間が蘇った。

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