晩秋の洞爺湖へ(2)有珠山編2011年11月12日

前回の(1)温泉編からの続きです。

洞爺湖温泉街の背後には、有珠山や昭和新山と言う活火山があります。
この有珠山と言う山は2000年に大噴火を起こし、洞爺湖温泉のすぐ裏手の住宅にも被害を及ぼしたということで強く印象に残っている人も多いことと思います。
このときは事前の準備で住人の避難が完了していて、一人の犠牲者も出さなかったという素晴らしい対応がされたわけですが、その噴火の爪痕は今でも残されています。例えば僕が到着したバスターミナルの裏手からすぐの場所には、熱泥流に襲われた建築物がそのまま遺構として保存されていて、自然災害の凄まじさを実感させてくれます。

金毘羅火口災害遺構

この有珠山の噴火ですが、実は2000年のひとつ前、1977年の噴火に僕は遭遇しています。
ちょうど夏休みを利用して友人と二人、親戚の家を泊まり歩いていたのですが、噴火当日に親戚が運転する車でこの洞爺湖に向かっている最中に前方に高々と上がる噴煙を見つけ、しかもそれが急速に大きくなり、空全体が灰色と黒が入り混じったような色へと変わり、気が付くと車のボンネットに何センチもの厚みで火山灰が降り積もる・・・そんな経験でした。
もちろんその時はとても先に進める状況ではなく途中で引き返すことになったのですが、そのときに見たすさまじい噴煙と猛烈に降り注ぐ火山灰は今でも忘れられない光景です。
後になってから知った話ですが、このときは事前に避難勧告などが出ていなかったため、洞爺湖温泉街は逃げ惑う人でパニック状態になったのだとか。2000年の噴火で1万人を超える住人が整然と避難できたのは、もちろん火山噴火予知の精度向上も大きいのでしょうが、このときの経験もきっと生きているのでは?と思います。
大きな災害を及ぼす有珠山ですが、平時はそれが重要な観光資源の一つであることは確か。洞爺湖の温泉にしてもこの火山のおかげとも言えるわけで、一定周期で噴火を繰り返す厄介な活火山ではありますが、共存することで観光地として成り立ってきたとも言えるのかも知れません。

さてそんな縁もあって、今回洞爺湖を訪れたら是非にと考えていたことが、「有珠山の火口を見る」ということでした。ところがこの時期、洞爺湖温泉から有珠山ロープウェイへ向かう路線バスは冬季運休に入っています(10月半ばで終了)。
確かに紅葉の時期を過ぎたら、観光客はグッと減ってしまうでしょうし、そもそもほとんどの観光客が自家用車か、ツアーバスです。一人二人の客をアテにして運行していたら赤字でしょうからねぇ・・・残念だけど。
と言うわけで、やむを得ず今回は主義に反しますが、タクシーで有珠山ロープウエイ乗り場まで向かうことにしました。幸い「とくとくタクシープラン」と言う、温泉街からのタクシー往復とロープウェイ券、その他割引券がセットになったお得なプランがあり、それを利用することにして札幌を出発するときに予約を入れておきました。
で、(1)温泉編の最初の方に書いたとおりに、バスが到着したらタクシーが待ち構えていたというわけです。

さて有珠山ロープウェイに乗る前に、まずは割引券を使って腹ごしらえ。腹ごしらえの後は、昭和新山を見学・・・と言っても、昭和新山も活火山で、しかも私有地のため、下から眺めるだけです。
何枚か写真を撮った後、いよいよロープウェイ乗り場に向かいます。
ここからは写真を中心に。

【昭和新山】
1944年から45年に掛けての噴火で溶岩ドームが盛り上がって形成されたのが昭和新山。
初めて気が付きましたが、ちょうど太平洋戦争の真っただ中ですね。当時はどのように報道がされたのか気になりますね。
昭和新山

【ロープウェイを降りてすぐの展望台】
先ほど下から見上げていた昭和新山を、今度は上から見下ろしています。
左手に洞爺湖が、右手には噴火湾が広がっています。ダイナミックな風景を楽しめる観光ポイントだと思います。
展望台から洞爺湖と昭和新山

【有珠山の火口】
先ほどの展望台から少し歩くと、今度は有珠山火口の展望台に到着します。
荒涼とした風景のあちこちから水蒸気の噴煙を上げています。
有珠山の火口

【東屋まで】
ここで引き返すのが一般的ですが、せっかくなので展望台から急な階段を一気に下って、先に見える東屋を目指すことにします。
「登山装備が不十分な人はここから引き返せ。怪我しても責任は持たないよ」ってなことが書かれた立看板が立っていますが、確かにもっともな警告であり、東屋まで行って戻るだけでもそれなりの体力は必要です。今回は登山靴ではありませんが、今日はピーカンとも言える良い天気。しっかりした靴も履いていますし、背中のザックの中にペットボトルの水なども入っていますので、先に進むことにしたわけです。
東屋近くからの有珠山火口

【東屋からの火口】
振り返ると洞爺町の町並み。
まさにパノラマ的な風景という気がします。
洞爺町と噴火湾

【終着点】
やや霞んだ視線の先に、後方羊蹄山。
別の登山口から登ってきたのだろう、登山客が何人も休息しています。
僕もまた、しばし休息してから来た道をまた戻ることにしました。
洞爺湖と後方羊蹄山

再び急な階段を上りきって展望台まで戻った時には息は上がり、汗だくの状態です。
ロープウェイを降りると、すでにタクシーが待っていてくれました。約束の時間にはやや早かったのですが、ちょうど別のお客さんを乗せて来たのだそうで、タイミングが良かったようです。
そのまままっすぐ今日の宿へ向かってもらうことにしました。う~ん、楽チンこの上ありません。なんだか日頃の主義なんぞ忘れてしまいそう・・・でも貧乏症の僕だから、きっとそれはないな(笑)

と言うわけで、(2)有珠山編は終わりです。
いよいよラスト、(3)湖編です。


最後はアルコールバーナー2011年11月06日

ESBIT社製のアルミクックセット
屋外で摂る食事はなぜか美味しくて、料理を作ることもなかなか楽しいもの。
バーベキューなんて、まさにその野外料理を目的としたレジャーですからね。
美味しく感じられなかったり、楽しくなかったら、わざわざ時間を掛けてするはずもありません。
僕もまた、山歩きなどの際にはよく料理を作ったものです。
ちょっぴり過去形で書いたのは、ここ数年はテント泊で山歩きをするようなこともなく、また日帰りでも時間を掛けて料理を作る気にはなれず、まったく野外料理を作ることが無くなったためです。
それでも「熱い湯が欲しいな」と思うことは多々あります。
湯さえあれば、あっという間にカップラーメンが作れますし、特に寒い季節はインスタントの豚汁や汁粉などがあれば、なんだか幸せな気分になれます。
そんなわけで、今の僕にとっては熱い湯を沸かすことができれば機能的には十分なわけです。

野外料理用のバーナー(ストーブとも言います。一般的には"コンロ"と言うのが一番解りやすいかも?)には色々な種類があります。
ただ山目的となると、バーナーとバーナーの燃料は人間が担いで歩くわけですから、携帯に優れたものである必要があります。
最初に初めて使ったバーナーは中学生の時、缶詰に固形燃料が入ったような、使いきりのバーナーでした。
それからはケロシン(精製した灯油)のバーナー、ガソリンバーナー(これもまた精製したガソリンや車用の普通のガソリンを使えるタイプなど様々ありますが)、今では一番ポピュラーなガスボンベのバーナーなどをその時々で使ってきました。
それぞれに特徴があり、メリットやデメリットもあるのですが、長くなってしまいますので、またの機会にということで今日の記事では省略。
とにかく気が付いてみると、実家に置いてあるものも含めて、現在はガソリンバーナーが2台、ガスバーナーが4台ってな具合・・・不器用な僕には当然ながら使い分けなんてできていないわけですが(笑)。

さて話を戻すと、最近の僕にとっては「湯が沸かせれば十分」なのですから、プレヒートとかポンピングとか、点火前の儀式の時間を必要とする(それはそれで楽しめる人も多いようですが)ガソリンバーナーはやや面倒。今所有している中ではガスバーナーが一番お手軽と言うことになります。
でもお手軽なガスバーナーよりも、もっとお手軽で簡単なバーナーがあります・・・そう、ようやくここからが本題ですが、アルコールバーナーと言うものがあるのです。
これは至って簡単、燃料用アルコールをバーナーに必要な分だけ注ぎ、火を付けるだけ。
アルコールと言うと、旅館の一人鍋を暖める固形アルコールのイメージあるためか、火力が弱いのでは?なんてイメージが浮かびます。確かに若干余分に時間は掛かりますが、最初は弱い炎も少しずつ大きくなって安定した後は、十分水を沸騰させてくれる力があります。
これからの時期ならば、低温にも比較的強いことも魅力です(一般にガスは低温に弱い。もっとも最近はガスも色々と工夫されて、寒冷地でも使えるカートリッジなども売られていますが)。燃料となるアルコールは、どこのドラッグストアでも売っていますので入手性も高く、しかも可動部は無いに等しいので故障に心配がいりません。極端な話、燃料さえあれば、最悪空き缶などで自作することだってできるのがアルコールバーナーの魅力です。
もっとも風には極端に弱いので、野外で使う以上は風除けの工夫は必要ですが、燃焼時は無音で静かな、本当に静かな燃え方というのが、なんとなく「解っている奴」ってな感じがしませんか?(笑・・・・結局なんだかんだ理屈をこねていますが、イメージ先行なわけです)

そんなわけで、買ってしまったのが写真の製品。
札幌の老舗アウトドアショップ秀岳荘が月曜日から秋のバーゲン中で、今日がその最終日。そのバーゲンセールに足を運び、以前から気になっていたアルコールバーナーをつい衝動買いしてしまいました。
最初はバーナーとゴトクだけを買おうと思いましたが、コッフェル(鍋のようなもの)と風除けを兼ねたゴトク、それとバーナーが一体となっていて収納もなかなか便利そうな製品があり、5分ほど悩んだつもりになって、結局購入したのが写真のドイツ・エスビット社製のクックセットです。
実はこの製品、アルコールバーナーだけでなく、エスビット社の名前そのままの固形燃料も使えるのです(写真で箱の上に置いているパーツみたいなものが、その固形燃料を燃やす台になります)。
結構隙間が多いので防風性能はやや不完全な感じがしますが、これは実際に使ってみてから工夫することにしようと思います。
まあ本当のところはその性能云々よりも一体感のある機能美が一目で気に入っちゃったんですね。なんだか久しぶりに眺めているだけで、嬉しいアウトドアギアというわけです。

冬にどこかの野山へ散歩にでも出かけ、これで熱いコーヒーを入れてみることにしましょうか。
固形燃料、石油、ガソリン、ガスと続いて、行き着いたのがアルコール。これがたぶん、僕にとっては野外用の最後のバーナーかな?(現時点ではね・・・)

陣馬山から高尾山へ2011年09月18日

5月に一緒に高尾山へ登った友人と、再び山に行くことになりました。
今回は陣馬山から一気に高尾山までの縦走です。
着々と友人に対する「山男化計画」が進行しています。
互いのスケジュールを確認したところ、今日が都合が良いということになったのですが、
天気予報を見ていると、明日からまた天気が崩れるようで、まさにピンポイントで今日が最適な日になったようです。

山域やルートを色々と考えましたが、ポイントごとの眺めが良く、茶店があって休憩や補給ができ、達成感が感じられるロングコースでありながら、比較的に起伏が少ないルートということで、このルートとしました。
このルーとなら、途中何かアクシデントがあったとしてもエスケープルートがたくさんありますので、登山2回目の友人を連れて行くのにも安心です。

というわけで、JR高尾駅で待ち合わせ。
高尾駅からバスで終点の"陣馬高原下"へと向かいますが、この高尾駅は人であふれ返っています。そのほとんどは登山客。
このあたり、北海道とはえらい違い。北海道ではいつも公共交通機関の本数の少なさと乗客の少なさに、残念な思いをしているので余計に人が多く感じられます。
陣馬高原下へ向かう臨時の直行バスもギュウギュウ詰めの状態でした。その後の定時バスも同様でしょう。

今回のルート、本当の意味で大汗を掻くのは、陣馬高原下から和田峠へ向かう車道から途中で分岐して作られた新登山道だけで、陣馬山から先はアップダウンはもちろんあるものの、相対的には下り基調のルートです。
そのため、高尾山側から向かうよりも比較的楽に歩けるように思えます。
帰りも陣馬高原下からのバスを待つよりも高尾山口から直接電車に乗り込めるのでやや便利な気がします。

さてここからは写真で簡単に・・・。

陣馬山頂のモニュメント。
なんでもこのモニュメントは京王電鉄が観光地として売り出すために建てたのだとか。
陣馬山頂のランドマーク

陣馬山頂から南西の方角。
富士山が雲の上にひょっこり顔を出してくれました。
陣馬山頂から南西方面。富士山が顔を出していました

景信山山頂から。
この写真じゃわかりにくいですが、新宿を始めとする都心の高層ビルまで遠望できます。
もやっていなければ、きっと東京スカイツリーもクッキリと見えることでしょう。
景信山山頂からの展望。遠くにうっすらと新宿を始めとする都心の高層ビル街が見えますが、もやっていて残念!

景信山から相模湖を見下ろします。
逆光気味でやや暗い写真なのが残念。
景信山から相模湖方面。逆光なので少々暗いですが・・・

小仏城山と高尾山の途中の一丁平の展望台から。
完全に逆光の時間帯だったのが残念ですが、山が幾層にも重なり、遠くには富士山・・・良い眺めでした。
小仏城山と高尾山の間の一丁平の展望台から。山が幾層にも連なっているのが印象的です

途中の景信山、そして小仏峠からは小仏バス停へ、小仏城山からは相模湖方面へ下山できるのですが(他にも大垂水峠へ下るルートなど色々とあります)、そのたびに「ここから下山しようか?」などと話しながらも、結局高尾山まで歩くことにしました。
ただ最後だけはちょっぴり楽をしようと、リフトで一気に下りてしまいましたが。
本当はケーブルカーで降りるつもりだったのですが、あまりの混雑に相当待ちそうな感じでしたのでリフトにしたのですが、そのリフトにしてもも20分ほどの待ち行列ができていました(しかも運行終了時間が過ぎても乗客を捌くために運行していました)。
恐るべし、高尾山・・・。

八王子駅近くの居酒屋で軽く打ち上げの乾杯。
もっとも各山頂の茶店でも休憩のたびに乾杯していましたので、何度目の乾杯になることか(苦笑)。
友人も、疲労感を感じながらも、今日一日の山歩きには満足してくれたようです。
というわけで、着々と友人の「山男化計画」は進んでいます。
さて次はどこに連れ出しましょうかね?(笑)


ニセコアンヌプリへ2011年08月27日

ニセコアンヌプリへ山歩きに行ってきました。
名前の通り、ニセコアンヌプリはニセコ山系の標高1373mの山ですが、その中腹から裾野に掛けてはアンヌプリ、ヒラフ、東山等世界的にもパウダースノーで知られるスキー場が数多あり、ご存知の方も多いことでしょう。
実はこのアンヌプリ、夏場もスキー場のゴンドラが運転されていて、時間を短縮して山頂に立つことができる山なのです。
最初は先日の大雪山と同じく前泊しようかとも考えましたが、このゴンドラを利用するとわずか2時間半ほどで山頂まで行って降りてくることができるのです。早い時間に出発すれば札幌からでも十分日帰りが可能な山なのです。
と言うわけで、今回はニセコアンヌプリスキー場のゴンドラを利用して、アンヌプリ山頂に立ち、硫黄泉の秘湯として知られる五色温泉へ下ることとしました。

札幌からニセコまで公共交通機関を使うとすると、アンヌプリースキー場まで運行される
都市間バスか、本線とは名ばかりという感じのJR函館本線でニセコ駅まで向かい、路線バスに乗り換えて向かうことになります。
本数や運行時間帯等で考えるとバスの方が便利な感じですが、今日は土曜日、JR北海道の"一日散歩きっぷ"が使えます。利用できるのは普通列車だけですが、元々札幌から小樽乗り換えニセコまでのこの路線は、普通列車しか運行されていませんので問題ありません。この切符を使えば往復で\2,200・・・これは通常の片道運賃分くらいですからかなりお得です。
もっともそうした運賃がお得なことよりも、実は今まで小樽の先の余市~長万部間の列車に乗車したことがなかったので(今まで何回かニセコに行っていますが、いつもバスか車だったので)、これを機会に乗ってみようと考えました。

さて小樽で長万部行の始発列車に乗り換え。
一両編成のワンマン列車はかなりの混雑。三分の一くらいは登山客で、チョッピリ嬉しくなります。北海道の列車では、学生パーティ等を除けばほとんど登山姿の乗客を見掛けず、なんだか寂しい感じがしていましたから。

・・・というわけで、ニセコアンヌプリスキー場に到着したところから写真を中心に・・・

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スキー場の夏季ゴンドラに乗り、少しだけ歩くと"1000m台地"と名付けられた展望台です。
ここからの羊蹄山は、まさに蝦夷富士と呼ばれるにふさわしい立派さ。
ゴンドラを降りてすぐの展望台からは羊蹄山が展望できます

視界のないトレイルを歩き続けて、視界が開けると、もうすぐそこがアンヌプリの山頂です。
アンヌプリ山頂まではもう少し

山頂からは360度のパノラマ。最高の眺めです。
写真は 岩内町方面の展望です。写真ではわかりにくいですが、日本海から積丹方面もハッキリと見て取れます。
アンヌプリ山頂から岩内・積丹方面を遠望。写真じゃわかりにくいですが、日本海もはっきり見えました

今度は逆方面。登ってきた方角を振り返りますが、写真のピークはアンヌプリ南峰ですが植生保護のためこのピークは踏まず、ルートはピークを巻いています。
登ってきた方角を見返します(このピークは巻いて登ります)

山頂を後にして、五色温泉郷へ下ります。
下る前にもう一度山頂を振り返ります。
さて下山。もう一度山頂を振り返ります

目指す五色温泉郷まで、ひたすら下ります。
五色温泉。ここまで一気に下ります

写真はイワオヌプリ。登るには一旦五色温泉郷まで下ってから登り返さなくては行けないことが残念。数年前に一度歩いていますので、今回は時間の関係でパスしました。
イワオヌプリ。登るには一旦五色温泉へ下らなくてはなりません

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さて五色温泉へ到着しましたが、微妙な時間。
せっか く五色温泉へ降りたのですから、久しぶりに(5年ぶりくらいです)源泉かけ流しの硫黄泉でゆっくり過ごしたいところですが、五色温泉からニセコ駅方面へ向 かうバスは14時と16時のみの2本。30分ほど待てば14時のバスに乗れますが、五色温泉は諦めることになります。一方、16時のバスならばそれこそ思 う存分温泉を堪能できますが、温泉以外何もないところですからやや暇を持て余してしまいそう・・・。
結局、この後の動きやすさを考えて、14時のバスで一気にニセコ駅まで向かい、駅前の「綺羅乃湯」という温泉施設で汗を流すことにしました。

でもこの決断については、後になってちょっぴり失敗したかなという気も。
綺羅乃湯・・・・設備は新しく清潔で立派ですし、とても快適な温泉です。料金もリーズナブルだし、併設されたレストランで飲食もできます。その意味では何の問題もありません。
た だこの"設備が新しく清潔で立派"というのが、そうした温泉は札幌市内近隣には多く、また(交通の便の関係で)そうした温泉を利用する機会が多い僕には、 なんだか新鮮味に欠けるような感じがしてしまったわけです。どうせなら、どっぷりと硫黄泉で山の風景を眺めながら秘湯感を味わった方が良かったかな?と。
つまりは温泉施設の問題ではまったくなく、僕の個人的事情というわけ。

温泉で汗を流し、ニセコ駅のレストランで期待以上に美味しいカレーを頂いた後は列車が到着するまでの時間を、駅のベンチでぼんやりとして過ごします。こうした時間も退屈だけど、なんだか好きなんですよね・・・旅!ってな感じがして・・・。
やがて到着した帰りの列車も一両編成で、ニセコ駅から乗り込んだ乗客で行きと同様の混雑具合でした。
車窓から眺めていた空は徐々に夕焼け空へと変わり、やがて小樽に到着した時には夜の空へと変わっていました。


<おまけの2枚>

ニセコ駅からのアンヌプリ。下山後に、こうして登った山を振り返るのはイイものです。
ニセコ駅のホームから今日登ったニセコアンヌプリを望みます

ニセコ駅のホームからは、羊蹄山の山頂が見えました。
ホームから振り返ると、羊蹄山の山頂も見えました

一本の線~大雪山縦走2011年08月08日

今年の夏休みは遅く9月に取得するつもりでいましたので、8月は特に予定を立ててはいませんでした。とは言っても世間が「夏休みモード」になると、釣られて僕も休みたくなってしまいます。
そこで思い立ったのが「山に行こうか」ということ。
今年は帰省時に登った高尾山と、いつもこのブログでも記事にする近所の藻岩山や円山に登ったくらい・・・年々山が遠くなりつつあります。
さて日帰りではなく二日間で考えると、行ける山域は一気に広がります。
そこで「The夏山!」を満喫できる表大雪に行こうと考えました。

10年ほど前、まだ札幌に住む前にあちこちの山を歩こうと夏休みを使って一週間ほど北海道に滞在したことがあります。
その時は70Lの大型ザックにテントに寝袋、その他フル装備で、層雲峡から黒岳へ入るプランでした。
ところが黒岳に登った日はあいにくの天候。台風崩れの強風と横殴りの雨で視界もほぼなし・・・黒岳の山頂までは登ったのですが、この天候の中テントで一晩を過ごす気にはなれず、山頂にいたレンジャー?に「明日はもっと荒れますよ」と言われ、完全に気持ちが退けて、すごすごと下山してしまいました。
結局、その日は層雲峡の温泉旅館で1泊。翌日は予報通り天候は回復しませんでしたが、翌々日の天候回復に期待してグルリと反対側の旭岳温泉のキャンプ場へ移動しました。この時点で休暇は残り4日間になっていて、山以外の予定で朱鞠内湖や札幌へ立ち寄る都合もあり、大雪山を縦横に歩くことは断念し、「せめて北海道最高峰の旭岳へ」と思ったわけです。幸い、旭岳温泉で迎えた翌朝は雲一つない青空となり、サブザックに日帰り装備だけを詰め込んで旭岳へ登りました。
その後札幌に住むこととなり、二度ほど旭岳は登っていますが、いつも日帰り。
黒岳と旭岳が繋がらないままに、10年が経ってしまいました。
今回大雪に行くならば、この黒岳と旭岳を繋いで一本の線にしよう・・・これが今回のプランです。

10年前と同じく入り口は層雲峡温泉で前日泊し、翌日一日で黒岳から旭岳を歩いて旭岳温泉へ下ることにしました。
旭岳側から入る方が行程的にやや楽で(黒岳側からだと最後の方に旭岳への長い登りが待っている)、下山後の公共交通機関の便も層雲峡の方が良いようでしたが、その10年前の出来事にあえて拘ってみたわけです。


途中の行程は写真を中心に・・・・

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黒岳ロープウェイへ向かいます。
土産屋、飲食店、旅館などの建物が統一感のある外観で、ちょっぴりチロル風です。
黒岳ロープウェイへ向かう町並みはチロル風

黒岳山頂へ向かうトレイルから後ろを振り返ると、雲海にニセイカウシュッペ山(1883m)を中心とした山並みが浮かんでいました。
黒岳山頂へのトレイルからニセイカウシュッペ山方面

黒岳山頂です。標高は1984m。
10年を経て、ようやく山頂からのこの風景を見ることができました。
黒岳山頂

黒岳山頂から、これから目指す北鎮岳方面を望みます。
8月でも大雪山は雪渓が残っています。
黒岳から北鎮岳方面を望む

北鎮岳へ向かうトレイルから、今歩いてきた黒岳方面を振り返ります。
北鎮岳へ向かうトレイルから黒岳

ひたすら歩き続けて、北海道最高峰の旭岳の裏側へ。
歩き疲れた後なのでかなり堪える登りですが、最後の登りなので頑張りましょう。
旭岳を裏側から

旭岳山頂です。標高は2,290m。
ひたすら登り続けてたどり着きましたが、ガスでまったく風景は望めず残念・・・。
旭岳山頂

このままじゃ、ちょっと残念。
というわけで、2007年7月1日に旭岳へ登った際に、山頂から撮影した写真をどうぞ!
2007年7月1日の写真です

四角い形が特徴的な金庫岩。
視界が悪い時には頼りになるケルンの役割も。
旭岳への途中の金庫岩

姿見の池。晴れていればここから旭岳が絵になる風景なのですが、今日は残念・・・。
姿見の池から旭岳

というわけで、またまたオマケに2007年のときの姿見の池からの旭岳をどうぞ。
2007年7月1日の写真です

下山後、旭岳は顔を出していました。
山の天気はコロコロ変わります。それもまた、山歩きの面白さかも?
下山後に旭岳

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これで無事、黒岳と旭岳が線で繋がりました。
下山して温泉で一汗流しましたが、旭川駅までのバス便まではまだ2時間半近く時間があります。ビールをゆっくり飲んでもまだ残り2時間・・・ひたすらボーッとしつつ「この不便さが北海道らしいと言えばらしいんだよな」と、10年前の思い出を肴に、2杯目のビールを注文するのでありました。


<補足>

格好よく〆てみましたが、本当はこのバスを待っている時間が一番辛かったです。
14:10の便の次は最終の17:30までバスがないのです(1日3便しかない)。夏場はせめて午後3時~4時台にあと1本くらいバスを運行して欲しいと思いますが、僕が乗車した最終便でも、乗客は5人くらい・・・採算を考えると難しいのでしょうねぇ。
公共交通機関で表大雪を歩くことを考えている人は、やはり層雲峡温泉側に下る方が無難かも知れません(こちらだと1時間に1本くらいの間隔で、旭川や上川駅行きのバスがあります)。