【小説】 ふたたびの虹 ― 2010年07月16日
今日もまた、最近読んだ本のご紹介。ちなみにこの本も新刊ではありません。
一応ジャンル的にはミステリーのこの小説。でもミステリーに関心がない人でも楽しめるストーリーのこの本。
女将が一人で切り盛りする小料理屋が舞台の連作小説で、もちろん主人公はこの女将。決して"肝っ玉系"ではなく清楚で柔らかな・・・・って、これは僕の勝手なイメージですが。
この女将と常連客の関わりの中で発生するささやかな事件とその謎解きがストーリーを形作ってはいますが、警察に追いつ追われつのような大きな事件は一つも登場しません。ハラハラドキドキとか、スピード感のようなものとは対極にあるような小説です。
でもそこがこの連作ミステリーの魅力。一篇一篇に「良いなぁ」と感じ、なんだか余韻とともに"染みる"感じがするのです。
もしかしたらこんな小料理屋が実在しているかも・・・そんな気さえしてきます。もしそうだったら、僕もぜひ常連になりたいところ・・・。
なんでも以前、この小説を原作にNHKでドラマ化されたのだそうです。残念ながら僕は見ていませんが、再放送しないかなぁ・・・と、ひそかに期待しています。
一応ジャンル的にはミステリーのこの小説。でもミステリーに関心がない人でも楽しめるストーリーのこの本。
女将が一人で切り盛りする小料理屋が舞台の連作小説で、もちろん主人公はこの女将。決して"肝っ玉系"ではなく清楚で柔らかな・・・・って、これは僕の勝手なイメージですが。
この女将と常連客の関わりの中で発生するささやかな事件とその謎解きがストーリーを形作ってはいますが、警察に追いつ追われつのような大きな事件は一つも登場しません。ハラハラドキドキとか、スピード感のようなものとは対極にあるような小説です。
でもそこがこの連作ミステリーの魅力。一篇一篇に「良いなぁ」と感じ、なんだか余韻とともに"染みる"感じがするのです。
もしかしたらこんな小料理屋が実在しているかも・・・そんな気さえしてきます。もしそうだったら、僕もぜひ常連になりたいところ・・・。
なんでも以前、この小説を原作にNHKでドラマ化されたのだそうです。残念ながら僕は見ていませんが、再放送しないかなぁ・・・と、ひそかに期待しています。
【小説】 犯人に告ぐ ― 2010年07月09日
最近時間があって、まとめて何冊かの本を読むことができました。その中で特に印象に残っている本を何冊かご紹介しようと思います。
で、今日はこの小説です。
この作家の本は以前にも何冊か読んだことがありますが、いつも「えっ」と思わせてくれる結末で、驚かされます。とは言ってもミステリー独特のトリックにいう意味ではなく、その予想外のストーリー展開にです。
ただたまたま過去に読んだ本がそうだっただけなのでしょうが、結末に後味の悪さみたいものを感じてしまって、この本も2年以上前に手元に置いておきながら、なんとなく先延ばしにしていたのです。
ところが・・・この僕の思い込みは、まさに思いこみそのものでした。
ストーリーは斬新。
途中からはストーリーの中に自身が入り込んでしまうような感覚となり、長編小説(文庫版で前後篇の2冊)であるにも関わらず、夢中になって最後まで一気に読みとおしてしまいました。
「警察小説」というジャンルは、最近素晴らしい書き手が増え、名作が多いとも感じていましたが、この小説もまた斬新なストーリーと無駄のないエピソードでそんな名作に肩を並べます。
特に組織の論理の中での理不尽に耐えながらも、自分の意思を最後まで貫き通す主人公に感情移入しながらの一気読みでした。
当然ながら読後ももちろん爽やか。まさにエンターティンメントとして完成された素晴らしい小説だと思います。
「この小説をぜひ映像で・・・」と思っていたら、僕が知らなかっただけで、すでに2007年に豊川悦治さん主演で映画化されていました。DVDも出ているようですので、ぜひ見てみたいと思っています。
で、今日はこの小説です。
この作家の本は以前にも何冊か読んだことがありますが、いつも「えっ」と思わせてくれる結末で、驚かされます。とは言ってもミステリー独特のトリックにいう意味ではなく、その予想外のストーリー展開にです。
ただたまたま過去に読んだ本がそうだっただけなのでしょうが、結末に後味の悪さみたいものを感じてしまって、この本も2年以上前に手元に置いておきながら、なんとなく先延ばしにしていたのです。
ところが・・・この僕の思い込みは、まさに思いこみそのものでした。
ストーリーは斬新。
途中からはストーリーの中に自身が入り込んでしまうような感覚となり、長編小説(文庫版で前後篇の2冊)であるにも関わらず、夢中になって最後まで一気に読みとおしてしまいました。
「警察小説」というジャンルは、最近素晴らしい書き手が増え、名作が多いとも感じていましたが、この小説もまた斬新なストーリーと無駄のないエピソードでそんな名作に肩を並べます。
特に組織の論理の中での理不尽に耐えながらも、自分の意思を最後まで貫き通す主人公に感情移入しながらの一気読みでした。
当然ながら読後ももちろん爽やか。まさにエンターティンメントとして完成された素晴らしい小説だと思います。
「この小説をぜひ映像で・・・」と思っていたら、僕が知らなかっただけで、すでに2007年に豊川悦治さん主演で映画化されていました。DVDも出ているようですので、ぜひ見てみたいと思っています。
小説 ヘーメラーの千里眼 ― 2009年11月24日
ヘーメラーの千里眼 (上) 小学館文庫 ま 2-15
posted with amazlet at 09.11.24
松岡 圭祐
小学館
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久しぶりに本の話題。
この小説は、「催眠」でデビューし、あっという間にベストセラー作家となった松岡圭祐さんの「千里眼」シリーズの1冊。
映画化やDVD化されたりもしているので、ご存じの方も多いことだろうが、航空自衛隊女性初のF15J戦闘機パイロットで、除隊後に臨床心理士となったヒロインを主人公に、個性的で魅力あふれる登場人物が織りなすこのシリーズは、どれも先を急いで読みたくなる魅力的なストーリーに溢れている。
この「ヘーメラーの千里眼」は、そんなシリーズの中でも、僕にとってはとりわけ面白く感じられた1冊(実際には文庫版を読み、上下巻の長編だったので2冊だけど)。
過去と未来のエピソードを交差させつつ、クライマックスへ繋げて行くそのスートーリーは、ヒロインの"スーパーウーマン"的な部分が抑えられていて、逆にだからこそ無理が感じられる部分が少ない。
クライマックスとその後の余韻。
その余韻が煩わしく感じられる小説も多いのだが、この小説はこの余韻があるからこそ、読んだすべての人をハッピーにしてくれる、そんなエンディングを作り出してくれていると感じた。
この「ヘーメラーの千里眼」、実は新作ではない。
千里眼シリーズは、小学館文庫のシリーズや角川文庫からのクラシックシリーズ、そして新シリーズと、結構ゴチャゴチャしているために、僕にはどれが最新作でどれが旧作なのかもよくわからずにいる。
そのため読む順番もゴチャゴチャで、手当たりしだいと言う感じで読んでいるのだが、違和感をほとんど感じずに読み進めることができている。
ちなみに今回は古書店で入手した小学館文庫シリーズで読んだので、絶版になっていることを承知でamazonの書籍紹介も小学館文庫版で掲載した。
一度、シリーズのすべてを一括して揃え、出版順にきちんと読んでみようかなぁ・・・。
【書籍】実録・老舗百貨店凋落 ― 2009年07月14日
実録・老舗百貨店凋落 〈流通業界再編の光と影〉 (講談社文庫)
posted with amazlet at 09.07.29
北海道新聞取材班
講談社
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【最初に注記】
この本を読み終わったのは5月頃だったと思います。
本の感想を記事にしようと思いつつ、途中まで書きかけたのですが、どうにも気が重いテーマでもあり、書き渋っている内に忘れてしまっていて、今頃になってしまいました。
でも札幌人の僕としては、どうしても触れておきたい本ということで、いささかタイミングを逸している気がしないでもありませんが、今回記事にしました。
【注記はここまで】
札幌の中心部を南北に分ける大通公園。
この大通公園に面して、札幌の老舗百貨店"丸井今井"の札幌本店がある。地元の年配の人たちからは、未だに「丸井さん」と"さん"付けで呼ばれるほど長年親しまれてきた百貨店だ。
その丸井今井も、度重なる経営危機を乗り越えてなんとか今年まで頑張ってきたのだが、ついに力尽き、およそ400億円の負債(別の報道では470億円とか細かく502億円などととしている記事もある。何れにしても多額の負債であることに変わりはない)を抱えて今年1月に倒産してしまった。
2005年の2度目の経営危機以降は、仕入れ関係で関係の深かった伊勢丹の支援を受けながら業績回復を目指していた経緯もあり、再建のスポンサーとして伊勢丹が確実視されていたが、そこに高島屋もスポンサーとしての名乗りを上げ、状況は混沌とし始める。
そして紆余曲折の末、スポンサーが「三越伊勢丹ホールディングス」に決定したというニュースが、5月連休の直前に流れた。
これにより不採算店舗の旭川店、室蘭店は閉店し、札幌と函館の二店舗で再生への道を歩みはじめることとなった。
ここまではネットで普通に拾える今年に入ってからのニュース。
そしてここからが表題の本の話だ。
この本は、北海道新聞社取材班が上に書いた2005年の経営危機までを追いかけてまとめ上げたノンフィクション。
札幌と言う地方都市にとっては、様々な点でシンボル的な存在の老舗百貨店だけに、その内容にも強い意気込みが感じられる本だった。
最終章は未来へ向けての提言で締めくくられる・・・だがその行末をすでに知ってしまっている今、読後にはなんとも虚しさのようなものだけが残ってしまった。もちろんこんな印象を感じてしまうのは、この本に問題があったからではない。悔しい思いをしているのは、そして虚しさを感じているのは、この本の執筆に関わった取材班の方たちも同じに違いない。
確かに予想を遥かに超えた流通業界の変化と経済環境の悪化があったことは事実。また(敢えて知ったかぶりで言わせてもらえれば)それらの変化へ対応して行けなかった丸井今井の経営陣が力不足だったことも事実なのだろうと思う。
何れにしても、とても興味深くまとまった本だというのに、その読後に、"晴れない気分"を感じてしまったことが残念だった。
丸井今井は7月いっぱい閉店セールを実施して、8月から再スタートを切る。従業員は全員一旦解雇され、"必要最小限"の人材だけが再雇用されることになる。
いつの日か再生が成り、"実録・老舗百貨店『凋落』"ならぬ"実録・老舗百貨店『復活』"というタイトルの本を読んでみたいものだ。その時こそ、きっと読後爽やかで、明るい気持ちになれるかも知れない。
雑誌 MONOQLO ― 2009年05月22日
本の話題は久しぶり。最近本を読んでいないわけではないのだが、いやむしろ連休などもあったので、いつも以上に多くの本が読めたわけだが、感想を書きそびれている間に日が経ってしまった。
で、今日もまた、最近読んだなかなか面白かった経済小説のことでも書こうと思っていたのだが、PCに向かった途端に気が変ってしまった。
というわけで、今日は「MONOQLO」という月刊雑誌のことなどを。
この雑誌、簡単にどんな雑誌かといえば、「テストするモノ批評誌」のサブタイトルどおり、ジャンルをまったく限定せずに「モノ」を様々な視点からテストし、その結果を記事にしている雑誌だ。
実は僕はこの手の雑誌が昔から好きなのだ。元々が「モノ好き」(物好きという意味ではない、もの"が"好きの意味)だからと言うこともある。
で、雑誌の定期講読などをほとんどしなくなった昨今、なぜかこの雑誌だけはついつい購読する雑誌になっている。
この手のモノ批評誌、見掛けないようでいて、書店に行くと意外と多い。
「暮らしの手帖」、「特選街」、あるいは「日経トレンディ」などもこのジャンルに相当するだろうし、PCやカメラなど特定ジャンルに絞りこんでの比較批評を掲載している雑誌も入れればかなりの数になる。
そんな中でぼくがこの雑誌を気に入っているのは「普通ならテストの対象にしないようなモノ」を取り上げている点だ。
実際のテストやレビュー自体は、いつも中途半端な感じがするし、記事そのものの誤りも結構あるし、もっと率直に言えば「なんだか底が浅い」感じがする。
ただモノ選定の重要な情報源として捉えると不十分なこの雑誌も、気楽な読み物として捉えると、なかなかこれが面白いのだ。
雑誌によっては、広告主に気を遣いすぎるあまり、まったく批評になっていない、違いがまったくわからない比較を載せていたり(比較対象の製品すべてが優秀みたいな)、露骨なものではメーカーから援助を受けているのでは?(あるいはひょっとして検閲を受けているのでは?)なんて思うような提灯記事があるのも事実(タイアップ広告なんて今や当たり前だしね)。
しかもそうした雑誌は総じて掘り下げ方も足りなく、まったくモノ選びの参考にもならず、うっかりその雑誌を買ってしまった自分の失敗を後悔することになる。
その意味ではこの雑誌は比較的ニュートラルだとは思う。こうした雑誌メディアで「中立・公平」を保つのはなかなか大変だろう(だって本音を書いたら広告集めにくいじゃないですか)。ただしこの雑誌にしても、編集者(筆者?)の勉強不足や取材不足に伴う「思いこみ」「偏り」を感じることもあるが、そこは上にも書いたとおりに「読み物」として捉えていれば許せるし、楽しめる。
と言うわけで、なんとなく愛読書のようになっているこの雑誌だが、今号のクレジットカードに対する記事は、「総力特集」といいながら、あまりに勉強不足や調査不足、テーマの消化不足が感じられて、さすがに「おいおい」と言う感じで残念だった。
そもそも前提として「永久保存版」とうたうこと自体に、認識に大きな誤りがあるわけで、本文中にも「ルール改定」に触れ、流動的としていながら「永久保存はないだろう」とも思ったのだ。
でもこのテーマ自体は、突っ込めば突っ込むほど面白いテーマと思うし、その「業界タブー 一切ナシ!」のポリシーにも賛同できる。頑張れMONOQLO!次回に期待してるからね!
おっと、このまま書き続けるとまだまだ長くなってしまいそうなので、MONOQLO誌の「批評」はこの辺で・・・・。
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