今年見た映画の話(2)2013年08月28日

最近見た映画の話ばかりではありませんが、前回の記事以降に見た映画について、その感想を。

<藁の盾>

数年前に表題の原作を読んだたときに感じたのは、前半のワクワク感と後半のガッカリ感。もちろん個人的な印象ですが、そのときに感じたのは「小説よりも映像向きかも?」ということでした。
で、今回映画化され公開されるということでさっそく見に行ったのがこの映画。
見終わって感じた印象も、結局小説読んだ時とあまり変わらず。
エンディングに向けて失速して行く感じそのままという印象でした。

カンヌに出品されたとかで話題になっていましたが、設定は非現実的と思いつつも面白いと思うのですが、それがうまく生かせていない感じがするんですよね。収拾付けるのに迷っちゃっているような。

新幹線の車体のラインが「赤」というのもいただけません。これもリアリティを薄めてしまいます。JRに協力を仰いで撮影できない事情はわかりますが(台湾新幹線を使って撮影したようです)、CGやVFX全盛の今の時代、いくらでも方法はあろうにと思います。このあたり予算の関係なのかな?キャストに金掛かりすぎちゃったとか・・・個人的にはそのキャスティングについても「ちょっと違うかも」という印象でしたが・・・。

おっと、今日は少し辛口ですね。
かなり期待が大きかったので・・・。


<探偵はバーにいる2/ススキノ大交差点>

地元札幌が舞台と言うことで、公開前から楽しみにしていた映画です。
第一作のクライマックスシーンは秀逸でしたが、今回のクライマックスシーンは大掛かりだけど物足りなさも。
副題の「ススキノ大交差点」も意味がよくわかりませんし・・・ストーリーにはあんまり関係ないような・・・。

でも今作もそこそこヒットしたようですので、三作目、四作目と続いて欲しいと思う映画ではあります(地元びいき)。



<リアル~完全なる首長竜の日~>

映画館を見に行くと、本編前に近日公開作品の予告編が上映されます。で、予告編と言うものは大抵の場合「おっ、面白そう・・・」と思わされる、絶妙な編集がされています。
それを他の映画を見るたびに繰り返し何度も見ていると、「なんだか面白そうだなぁ」と、見てみたくなる映画が出てきます。
この映画もそんな映画の一つ。予告編マジックに見事ハマったのがこの僕・・・というわけ。

消して面白くなかったわけじゃないんですけどね。
ただなんとなく消化不良気味で、展開にも感情移入しずらく、ストーリーに入り込めなかったのが正直なところ・・・ラブストーリーとして見ても中途半端な感じだし・・・まあこのあたりは、僕自身のジャンルの好みが大きいのでしょうけど。


<ホワイトハウス・ダウン>

僕はよく映画の感想で「リアリティ」なんて言葉を良く使ってしまいますが、僕の思うリアリティって「現実にありえそうな話」という意味ではなく、あきらかにフィクションでも、見ていてその世界に入り込める映画がリアリティのある映画だと思っています。

で、この映画。
まさに「現実には有り得ない」し、「結構ご都合主義だね」と感じたり、
「これじゃ昔の西部劇だよね(主人公の撃った弾は、どこに銃口を向けていても必ず当たるのに、敵の撃つ弾は何発撃たれても致命傷にはならない)」と思わせられるシーンも多く、本来の意味でのリアリティとは遠い映画だとは思うのですが、僕が使う意味でのリアリティには、なんだか見事にハマってしまったんですよね。
途中からの畳み掛けるスピード感と「これでもかこれでもか」の大掛かりな破壊シーン、そしてまさにアメリカ映画的なエンディングに、「おっ、面白いじゃん」ってな感じ。最初の方のシーンで、さすがに「簡単に人が死に過ぎ」とは思いましたけど。

そう言えば、数か月前にもホワイトハウスがテロリストに占拠される映画が公開されていました。「エンドオブホワイトハウス」です。
そちらは見に行くチャンスを逸してしまいましたが、見比べてみたかったな。
それにしても同じような設定の映画が続けて公開されるなんて、ちょっと珍しいかも知れませんね。

今年見た映画の話(1)2013年03月20日

今年に入ってから映画館で見た映画について、その感想などを。


<ストロベリーナイト>

フジテレビで連続ドラマで放映していた時から見ていましたが、なかなか原作の雰囲気に近い(まあこれは僕が原作を読んで勝手に抱いていたイメージなんですが)ドラマで、結構楽しませてもらっていました。
それで映画版も見に行ったわけですが、やっぱり2時間前後という枠の中で深みのあるストーリーを当て嵌めるということは、なかなか難しいことなのかも知れませんね。
テレビドラマでも基本は1話完結でしたが、最後の2回は前後篇に分かれていました。そのラスト2回の方がより深いドラマ性があったような・・・そんな印象もあってか、ちょっぴり残念な感じがしてしまいました。


<遺体 明日への10日間>

巷の評判が非常に高く、またテーマがテーマだけに、否定的なコメントをするには勇気がいる映画ではあるのですが、あくまでも個人的な感想として・・・。

この映画はドキュメンタリー的な映画ですから、ストーリーを無理に誇張することもなく、できるだけ事実に忠実に描こうとしているのでしょうが、その分だけ映画的な誇張のない平坦な映画となってしまうことはやむを得ないのでしょうかね?
もちろん、映画のテーマなどに対しては、感じ入る部分は多いにある映画だったのですが、どうにも「副題」の意味まで入り込んでの感情移入はしきれずに、見終えてしまいました。


<プラチナデータ>

まあそれなりには面白かったかな。こういう逃亡劇ってのは嫌いじゃないので。でもそれはラスト20分ほど前まで。
ラスト20分では、せっかくのテーマが短絡化され、そこまでのスピード感が失われ失速し、ダレた感じの終わり方になってしまったのが、かなり残念に思えました。
原作を読んでいないので、もしかしたら原作自体がそんなストーリーなのかもしれませんが。
まあでも、色んな意味で話題性のある映画です。結構ヒットするんでしょうね、やっぱり。


<草原の椅子>

ここまでは「やや残念」的な感想を書いてきましたが、最後のこの映画は、個人的にかなりツボにはまった映画でした。
きっと大ヒットはしないのだろうし、話題にもならないのだろうと思いますが、十分映画的な映画だと感じました。

ホラー映画などのジャンルはともかくとして、どんなに悲しい、辛い、厳しい映画だとしても、最後に「救い」や「希望」、あるいは「前向きな余韻」を残してエンディングを迎える映画が、個人的には好みなんですね。こればっかりは「好み」なんだからしょうがないです。で、その意味では、まさにど真ん中の映画。
確かに冷静になってみれば、消してリアリティのある展開ではないのに、それをリアルに感じさせてくれる大人へ向けたメルヘン。しみじみとそんな感想をもった映画でした。
なんて言うのかなぁ・・・50歳前後の年代の人間への応援歌とでも言うのですかねェ・・・僕自身がその年代にハマっているだけに、余計にそんな印象を持ったのかも知れません。


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と言うわけで、気が付いてみると全部邦画ばかり。
知人から「是非に」と薦められた「レ・ミゼラブル」は、どうもミュージカル映画というのが個人的な性に合わずにパス。話題作の「ダイハード ラストディ」はおそらくは一定水準のクオリティであろうとは思いつつ、一作目の面白さから回を重ねるに連れ段々と劣化してきている印象が拭えずパス。
予告編を見て興味があった「フライト」は、「予告編にしてやられた」的な口コミも多く、大まかなストーリーを知ってからは急速に興味が失せてこれもパス・・・・・
とまあ、気が付いてみたら今年もまた邦画ばかりの鑑賞になっていました。

さてこの先もまた、面白そうな映画が目白押しです。
「何を見ようかな」と考えるのもまた、映画の楽しみだったりして。

【映画】 外事警察~その男に騙されるな2012年06月10日


映画を見てきました。ちょっとだけ、しばらくぶりかも?(なんだか変な言い回しですが)
この映画、NHKの土曜ドラマで放映されていた骨太なドラマの、その続編にあたるような映画ですが、ドラマを見ていなくても、ストーリーを追う上で困ることはありません。
そのあたりは上手くできている感じ・・・。

このドラマ編を見ていた時には、「民放だと作りにくいドラマだろうな。スポンサーが嫌がりそう」と思って見ていました。NHKだからこそ作れるドラマという気がしていたのです。
別にタブーに触れているからという意味ではなく、全体のトーンが暗く、救いがない感じがするドラマだったからです。ほらっ、普通のドラマってどんなに苛酷で暗くとも、最後はなんとなく気持ちがスッキリして救いを感じるものが多いじゃないですか。ところがこのドラマはそれがないんです。逆に言えば、それが新鮮な感じがして見ていました。
映画でもこのドラマのときのトーンがそのまま引き継がれ、その狙いがうまくハマっている映画だと思いました。いわゆるノワール作品とでもいうのかな?
ただどうしても映画だと、2時間前後と言う時間枠の中で完結させなくてはならず、それでいてスケール感は拡大させるという事情もありますからやむを得ないのでしょうが、ドラマ版の時に感じた心のひだまで丹念に描く緻密さのようなものが端折られて、なんだか最後まで重厚さに欠ける印象も感じてしまいました。
"やむを得ない"と言いながらもせっかくの素材、ちょっぴりもったいないなぁ~と・・・・。

公開2週目で週末だというのに、観客が少なく(20人~30人くらいかな?)、スクリーンも一番小さいスクリーンでの上映でした。俳優陣が皆良い演技をしていただけに、これはちょっぴり残念な気が。
興行的にも是非成功して欲しい映画だと思うんですけどね(僕が鑑賞したときが、たまたま少なかっただけかも知れませんけどね)。


【映画】 バトルシップ2012年04月20日

なんでもユニバーサル映画の百周年を記念して作られた超大作なのだそうです。
確かにVFX満載でスケールも大きく、「金掛かってんなぁ~」と感じる映画でした。
イントロのシーンがやや長過ぎて、やや退屈を覚え始めた辺りから本筋に突入。後はエンディングまで一直線に怒涛の勢いで突っ走る・・・見事に退屈する暇はありませんでした。

"エイリアンと地球人との戦い"という、よく目にする設定ではありますが、そのエリアンとの戦いが「戦艦」で行われるあたりが新しいかも。
クライマックスでは「少々無理な設定だな」とも思いましたが、エンターティンメント大作なのですから、なんでもOK、許しましょう!ってな感じ・・・。
自衛隊の艦長役で浅野忠信さんが重要な役どころで助演しているあたりも、個人的には嬉しかったです。「とりあえず出演しています」レベルではなく、準主役級ですから。

そうそう、エンディングロールが長かったためか途中で席を立ってしまった観客が多かったのですが、実はエンディングロールの後に、数分間のシーンがあります。
これから映画を見る方は、館内が明るくなるまでジッと我慢することをお勧めします。


【映画】 SPEC ~天~2012年04月18日

年度替わりで忙しかったからというわけではありませんが、しばらく間が空いてしまいました。
一度間隔が空いてしまうと、少々億劫になってしまうものなんですよね。
ようやく札幌も市街地の雪はほとんどなくなり、日中の気温も10℃まで上がってきて、「ようやく春が来たねェ」という気持ちでいます。
そうなるとどこかへ出掛けたくなり、それに連れて、このブログの記事にしたくなるようなネタも生まれてきます。
と言うわけで、まず今日は最近見た映画の感想などを簡単に。


<劇場版 SPEC ~天~>

公開翌日に見に行ったのがこの映画です。
TBS系の連続ドラマで人気となり、最近の傾向にならって映画化されたものです。
実はこのシリーズのだいぶ以前に、同じTBS系ドラマで「ケイゾク」という刑事ドラマがありました。
そのドラマがヒットしたのかは記憶にないのですが、かなり個性的なドラマで印象に強く残っていました。で、このSPECの「主要スタッフが同じ」ということだけで、ドラマ放映前から楽しみにしていたのです。

さてこの映画、ドラマ放映時の前提知識がないと、かなり入り組んだストーリーと人物の相関関係など、「なんのこっちゃい!」と面白さが感じられない映画かもしれません。でもそこは新作の2時間スペシャルドラマ(SPEC~翔~/警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿・・・・って、えらい長いタイトルだな)を、公開に合わせてTV放映することで、多少はフォローしている感じかも。
このSPECシリーズですが、その映像の「斬新さ」とストーリーの「奇想天外さ」という独特の世界観が構成されています。そのため、見る人によってかなり好き嫌いが別れる映画という気もします。
でも僕は好きなんですね、こんな不思議感のある設定。
ドラマ放映時から「いくらなんでもちょっとやり過ぎ」と、現実離れしすぎな感もしていましたが、"完全なフィクション"、"有り得ないな無茶な設定"という辺りを承知の上で、面白いのです。

エンディングは明らかに次回作を予感させる終わり方でした。
この映画の「天」。これは起承転結の「転」をもじったのでしょうね。上に書いたスペシャルドラマは「翔」でしたし。起承転結の各文字をうまく別の文字に当てはめている感じ。
そう考えると、おそらく予定されているであろう次回作「結」(たぶん文字は違う文字が当てられるでしょうけど・・・"血"ってのは嫌だな・・・"訣"あたりがいいかも?)をもって、このシリーズが完結なのだろうと推測しています。