珍味?ルッツ2010年08月09日

先日飲みの席で、「本日のお薦め」ということで、タイトルの「ルッツ」なる海産物が目に留まりました。
「魚でもなく、貝でもないです。食感はホッキ貝に似ているかも」
店員に「ルッツって何?」と尋ねても、いまひとつ答えが曖昧で、全然想像がつきません。ならばものは試しに食べてみようということになり、注文してみました。
味は特徴のない味です。確かに食感はホッキ貝に似ているかもしれませんが、貝類独特の風味は感じません。ほのかな味はありますが、刺身でなかったら素材そのものの味はたぶんわからないでしょう。
まずくはありませんが、旨くもありません。なんだか拍子抜けの気分。
で、今日になってそのことを思い出して、「いったいルッツとはなにもの?」と調べてみました。

調べてみたところ、このルッツの正式名はユムシと言うのだそうですが、北海道でも浜益(石狩市)など、ごく一部の地域でしか「採取」されない(しない?)海産物らしく、しかも普段は海底の砂の中に潜んでいるので網に掛かるようなこともないらしいです。ごく稀に、例えば大時化の後などに浜辺に打ち上げられたルッツを拾い集めて・・・そんなわけで「採取」という表現を使ったのですが・・・そんな時にしかお目にかかれない幻の海産物なのだそうです。
当然ながら市場に一般的に出回るようなものでもなく、そのため僕に限らず北海道で生まれ育ったメンバーも含めて全員が知らなかったというわけ。

ところでこのルッツ、実はミミズやゴカイの仲間なのだそうです。
ちなみにルッツという名前自体、アイヌ語のルッチ("ミミズに似る"の意)が転じた呼び方らしく、最初からそれを知っていたら食べなかったかも(笑)
写真で見てみる限りでは、姿形はなんだかかなりグロテスク。実際に見掛けても、間違いなく食べようと思わないだろうなァ・・・という感じ。

でも韓国などでは生食用として普通に流通しているそうですし、札幌からも比較的近い地域にまだ未知の食材があるなんて・・・・あらためて食文化の奥深さを感じてしまいました。

<石狩市の公式HPのルッツ紹介ページはこちら>