【小説】 犯人に告ぐ2010年07月09日

最近時間があって、まとめて何冊かの本を読むことができました。その中で特に印象に残っている本を何冊かご紹介しようと思います。

で、今日はこの小説です。

犯人に告ぐ〈上〉 (双葉文庫)
雫井 脩介
双葉社
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この作家の本は以前にも何冊か読んだことがありますが、いつも「えっ」と思わせてくれる結末で、驚かされます。とは言ってもミステリー独特のトリックにいう意味ではなく、その予想外のストーリー展開にです。
ただたまたま過去に読んだ本がそうだっただけなのでしょうが、結末に後味の悪さみたいものを感じてしまって、この本も2年以上前に手元に置いておきながら、なんとなく先延ばしにしていたのです。
ところが・・・この僕の思い込みは、まさに思いこみそのものでした。

ストーリーは斬新。
途中からはストーリーの中に自身が入り込んでしまうような感覚となり、長編小説(文庫版で前後篇の2冊)であるにも関わらず、夢中になって最後まで一気に読みとおしてしまいました。
「警察小説」というジャンルは、最近素晴らしい書き手が増え、名作が多いとも感じていましたが、この小説もまた斬新なストーリーと無駄のないエピソードでそんな名作に肩を並べます。
特に組織の論理の中での理不尽に耐えながらも、自分の意思を最後まで貫き通す主人公に感情移入しながらの一気読みでした。
当然ながら読後ももちろん爽やか。まさにエンターティンメントとして完成された素晴らしい小説だと思います。

「この小説をぜひ映像で・・・」と思っていたら、僕が知らなかっただけで、すでに2007年に豊川悦治さん主演で映画化されていました。DVDも出ているようですので、ぜひ見てみたいと思っています。