極上の十勝岳温泉2011年10月14日


十勝岳温泉 湯元凌雲閣

上富良野町から十勝連峰の中腹まで上がったところにある温泉が、この十勝岳温泉。
公共交通機関(タクシーは除く)で行くとすると、上富良野駅から町営バスを利用することになりますが、その本数はそれほど多くはなく、やや不便な場所になります。
この十勝岳温泉を起点に、十勝岳や富良野岳などの名山へのルートが伸びているため、北海道在住で山歩きをしている人にはよく知られている温泉です。
僕も5,6年ほど前に、富良野岳から十勝岳への縦走を目論んで、その山の帰りに入浴したことがありますが、鉄分を多く含んだ独特の色のお湯(タオルが茶色く染まるくらい)で"いかにも温泉!"という感じの秘湯&名湯という印象を持っていました。ちなみに入浴で利用させて頂いたのは「湯元 凌雲閣」という宿。
そのときは、途中から降り出した雨が強くなり、十勝岳まで歩くことは断念して途中の上ホロカメトック山から十勝岳温泉へと下山しました。下山した頃にはさらに雨は強くなり、楽しみにしていた凌雲閣の露天風呂からの眺め(荒々しい安政火口を眺めながら湯に浸かれる)を十分に楽しむことができなかったことが、心残りでした。
同僚と「車でどこかの温泉へ行こう」と話をしていたところ、「じゃあ、十勝岳温泉にしましょう」と決まったのが数日前。同僚にとっては初めての、僕にとっては心残りを解消するための十勝岳温泉です。

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桂沢湖周辺の紅葉(車内から撮影)

朝10時、札幌駅で待ち合わせ。同僚の車にピックアップしてもらって、まずは富良野を目指します。
列車だと旭川まで行って富良野線に乗り換えるか、途中の滝川から根室本線で富良野へ向かうのが一般的ですが、今回は車。最短ルートとのことで、岩見沢市の隣、かつて炭鉱で栄えた三笠市から桂沢湖を経て富良野というルートです。車だと2時間ほど。なんだか札幌~富良野間が随分近くなったように感じます。
このルートは今が紅葉の盛りで、車窓風景を眺めていて飽きることがありません。特に助手席でふんぞり返っているだけの僕は、時々車の窓越しにカメラを向けながら、十分に紅葉風景を満喫できました。

富良野市からは中富良野町、上富良野町と北上します。
ずっと山道を抜けてきたせいか、富良野の町が随分と都会に感じられますが、人口は24,000人程度。決して人口だけで町の振興を測れるわけではありませんが、一般的に言って大きな町というわけではありません。でもこの富良野市が富良野盆地の中心都市です。周りに比べて都会と感じるのは自然なのかも。
上富良野町からは、先ほどから右手に見えていた十勝連峰へ向けて車は走ります。
天気が良いので、富良野岳、十勝岳、そして美瑛岳がハッキリと見て取れます。すでに初冠雪してから日が経っており、山頂から中腹に掛けては真っ白です。
標高が上がるに連れ、道路わきにも降雪の後が見えてきました。これから向かう十勝岳温泉周辺は残念ながら紅葉は終わっているとのことでしたが、紅葉どころかひょっとしたら積雪でたどり着けなかったりして・・・と、少々心配にも・・・。

十勝岳温泉へ向かう一本道。正面の山は美瑛岳。分かりにくい右端のピークは十勝岳

湯元凌雲閣に近付くに連れ道路わきの雪は増えてきたものの、車道上には雪は無く無事到着。
このあたりは標高1280mですから、かなり高所にある温泉です。そのため駐車場から富良野盆地一帯が見渡せるのですが、もやっていて眺めは今一つ。まあ今日は、露天風呂に浸かりながら極上の風景を楽しむことが目的ですので、山側が霞んでいなければ十分です。幸い、曇り空に変わってきたものの、山側はクッキリと見えていました。

さて温泉。もうとにかく何を置いても露天風呂です(笑)。
湯を掻き混ぜると底に堆積していた温泉の成分が舞い上がり、茶褐色の湯がさらに色濃く変わります。まさに"源泉かけ流し"の証明のようなお湯です。温度はやや低く感じましたが、その分だけ長時間浸かっていることができ、景色を眺めながらボーッと過ごせる極上の湯。
浴槽がたくさんあるとか、広くて豪華などということはなく、その点では数多の温泉に見劣りするかも知れませんが、That's温泉!的なお湯そのものと露天風呂からの風景が、ここを最上級の温泉にしているという気がします。同僚もかなり満足してくれたようです。
風呂を満喫し過ぎて、うっかりしてせっかくの露天風呂の写真を取り損ねてしまいましたので、宿の外に出てから露天風呂を撮影・・・この丸見え具合も野趣があっていい感じ?(もちろん女性用の露天風呂は外からは見えません)。

安政火口から上ホロカメトック山方面

外に出てから撮影した露天風呂

露天風呂から失礼してパチリ

帰りは近くの吹上温泉の露天風呂に立ち寄りました。
ここは見学のみ。この温泉は沢沿いの崖っぷちにある無料の露天風呂ですが、テレビドラマ「北の国から」のロケ地になったことで有名な温泉です。
何人かの年輩の男性が入浴中でしたが、なんだかギャラリーの方が多いかも。中国系観光客のグループがこの温泉にまで訪れていたことに、ちょっと驚きました。

吹上温泉

さて、後は富良野名産のラベンダーソフトクリームをどこかで食べて、一路札幌を目指すだけです(結局ブドウ味のソフトを食べました)。
帰りも同じルートです。鮮やかだった紅葉も、夕闇に溶け込みつつある時間帯でした。