一本の線~大雪山縦走2011年08月08日

今年の夏休みは遅く9月に取得するつもりでいましたので、8月は特に予定を立ててはいませんでした。とは言っても世間が「夏休みモード」になると、釣られて僕も休みたくなってしまいます。
そこで思い立ったのが「山に行こうか」ということ。
今年は帰省時に登った高尾山と、いつもこのブログでも記事にする近所の藻岩山や円山に登ったくらい・・・年々山が遠くなりつつあります。
さて日帰りではなく二日間で考えると、行ける山域は一気に広がります。
そこで「The夏山!」を満喫できる表大雪に行こうと考えました。

10年ほど前、まだ札幌に住む前にあちこちの山を歩こうと夏休みを使って一週間ほど北海道に滞在したことがあります。
その時は70Lの大型ザックにテントに寝袋、その他フル装備で、層雲峡から黒岳へ入るプランでした。
ところが黒岳に登った日はあいにくの天候。台風崩れの強風と横殴りの雨で視界もほぼなし・・・黒岳の山頂までは登ったのですが、この天候の中テントで一晩を過ごす気にはなれず、山頂にいたレンジャー?に「明日はもっと荒れますよ」と言われ、完全に気持ちが退けて、すごすごと下山してしまいました。
結局、その日は層雲峡の温泉旅館で1泊。翌日は予報通り天候は回復しませんでしたが、翌々日の天候回復に期待してグルリと反対側の旭岳温泉のキャンプ場へ移動しました。この時点で休暇は残り4日間になっていて、山以外の予定で朱鞠内湖や札幌へ立ち寄る都合もあり、大雪山を縦横に歩くことは断念し、「せめて北海道最高峰の旭岳へ」と思ったわけです。幸い、旭岳温泉で迎えた翌朝は雲一つない青空となり、サブザックに日帰り装備だけを詰め込んで旭岳へ登りました。
その後札幌に住むこととなり、二度ほど旭岳は登っていますが、いつも日帰り。
黒岳と旭岳が繋がらないままに、10年が経ってしまいました。
今回大雪に行くならば、この黒岳と旭岳を繋いで一本の線にしよう・・・これが今回のプランです。

10年前と同じく入り口は層雲峡温泉で前日泊し、翌日一日で黒岳から旭岳を歩いて旭岳温泉へ下ることにしました。
旭岳側から入る方が行程的にやや楽で(黒岳側からだと最後の方に旭岳への長い登りが待っている)、下山後の公共交通機関の便も層雲峡の方が良いようでしたが、その10年前の出来事にあえて拘ってみたわけです。


途中の行程は写真を中心に・・・・

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黒岳ロープウェイへ向かいます。
土産屋、飲食店、旅館などの建物が統一感のある外観で、ちょっぴりチロル風です。
黒岳ロープウェイへ向かう町並みはチロル風

黒岳山頂へ向かうトレイルから後ろを振り返ると、雲海にニセイカウシュッペ山(1883m)を中心とした山並みが浮かんでいました。
黒岳山頂へのトレイルからニセイカウシュッペ山方面

黒岳山頂です。標高は1984m。
10年を経て、ようやく山頂からのこの風景を見ることができました。
黒岳山頂

黒岳山頂から、これから目指す北鎮岳方面を望みます。
8月でも大雪山は雪渓が残っています。
黒岳から北鎮岳方面を望む

北鎮岳へ向かうトレイルから、今歩いてきた黒岳方面を振り返ります。
北鎮岳へ向かうトレイルから黒岳

ひたすら歩き続けて、北海道最高峰の旭岳の裏側へ。
歩き疲れた後なのでかなり堪える登りですが、最後の登りなので頑張りましょう。
旭岳を裏側から

旭岳山頂です。標高は2,290m。
ひたすら登り続けてたどり着きましたが、ガスでまったく風景は望めず残念・・・。
旭岳山頂

このままじゃ、ちょっと残念。
というわけで、2007年7月1日に旭岳へ登った際に、山頂から撮影した写真をどうぞ!
2007年7月1日の写真です

四角い形が特徴的な金庫岩。
視界が悪い時には頼りになるケルンの役割も。
旭岳への途中の金庫岩

姿見の池。晴れていればここから旭岳が絵になる風景なのですが、今日は残念・・・。
姿見の池から旭岳

というわけで、またまたオマケに2007年のときの姿見の池からの旭岳をどうぞ。
2007年7月1日の写真です

下山後、旭岳は顔を出していました。
山の天気はコロコロ変わります。それもまた、山歩きの面白さかも?
下山後に旭岳

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これで無事、黒岳と旭岳が線で繋がりました。
下山して温泉で一汗流しましたが、旭川駅までのバス便まではまだ2時間半近く時間があります。ビールをゆっくり飲んでもまだ残り2時間・・・ひたすらボーッとしつつ「この不便さが北海道らしいと言えばらしいんだよな」と、10年前の思い出を肴に、2杯目のビールを注文するのでありました。


<補足>

格好よく〆てみましたが、本当はこのバスを待っている時間が一番辛かったです。
14:10の便の次は最終の17:30までバスがないのです(1日3便しかない)。夏場はせめて午後3時~4時台にあと1本くらいバスを運行して欲しいと思いますが、僕が乗車した最終便でも、乗客は5人くらい・・・採算を考えると難しいのでしょうねぇ。
公共交通機関で表大雪を歩くことを考えている人は、やはり層雲峡温泉側に下る方が無難かも知れません(こちらだと1時間に1本くらいの間隔で、旭川や上川駅行きのバスがあります)。

【映画】 うさぎドロップ2011年08月20日

映画を見に行こうと思い、上映スケジュールを眺めていて目に留まったこの映画。
独身で単身生活の主人公が、亡くなった祖父の隠し子(保育園児)をとあるきっかけから引き取って一緒に暮らし始めるというストーリー・・・激しいシーンやクライマックスのスリルのようなものは無い代わりに、見終わってなんとなくホンワカと温かい気分になれる、そんな映画です。
その根底にあるのは「癒し」。見終わってからそんなフレーズが頭に浮かびましたが、そういえば、エンディング近くの主人公のモノローグでもそんな言葉がありました。

ところで、血縁のない子供・・・祖父の隠し子なので血縁がないわけではないですが、原作のコミックを読むと、実はごにょごにょごにょ・・・・を、若い独身男性が育てるというストーリーは、なんだかつい最近ヒットした、あのテレビドラマに似ていないこともありません。
子役も同じ芦田愛菜ちゃんなので、なんだか余計にそう思えるのかも知れませんが。
もちろんドラマ設定はまったく違いますし、そもそもTVドラマの方では双子の設定でした。
ドラマ放映後の映画公開なので、なんとなく類似性を想像してしまいますが、映画化の前から原作コミックがあったわけで、むしろTVドラマの方がこの原作コミックに触発されたと考える方が自然かも(あくまでも僕の想像です)。

この原作コミックですが、10年後に子供が成長し高校生になってからの続編があるそうです。映画の方でも続編を見てみたい気がしますね。


ゲリラ豪雨のあと2011年08月26日


藻岩山方面の空を見る

今日の札幌は、青空が一転し、俗にいうゲリラ豪雨となりました。
ゲリラ豪雨にあまり馴染みが無い北海道でしたが、今年は何度かゲリラ豪雨のような雨が降っています。日本、いや世界中で異常気象が叫ばれる中、北海道だけは例年通りとは行かないのは当然ですが。

景色が霞むほどの驚くほどの雨が一気に落ち、でも1時間ほどでまた空が明るくなって雨も上がりました。
ベランダから雲の様子を見ていたら、まさに典型的な夏雲の姿。
思わず写真を撮ってしまいました。

そんな夏空を見ていると、以前は「北海道の夏はお盆まで」と言われていましたが、そうした季節感が少しずつずれて来ているのかもなぁ・・・と、そんなことを実感した一日でした。

ニセコアンヌプリへ2011年08月27日

ニセコアンヌプリへ山歩きに行ってきました。
名前の通り、ニセコアンヌプリはニセコ山系の標高1373mの山ですが、その中腹から裾野に掛けてはアンヌプリ、ヒラフ、東山等世界的にもパウダースノーで知られるスキー場が数多あり、ご存知の方も多いことでしょう。
実はこのアンヌプリ、夏場もスキー場のゴンドラが運転されていて、時間を短縮して山頂に立つことができる山なのです。
最初は先日の大雪山と同じく前泊しようかとも考えましたが、このゴンドラを利用するとわずか2時間半ほどで山頂まで行って降りてくることができるのです。早い時間に出発すれば札幌からでも十分日帰りが可能な山なのです。
と言うわけで、今回はニセコアンヌプリスキー場のゴンドラを利用して、アンヌプリ山頂に立ち、硫黄泉の秘湯として知られる五色温泉へ下ることとしました。

札幌からニセコまで公共交通機関を使うとすると、アンヌプリースキー場まで運行される
都市間バスか、本線とは名ばかりという感じのJR函館本線でニセコ駅まで向かい、路線バスに乗り換えて向かうことになります。
本数や運行時間帯等で考えるとバスの方が便利な感じですが、今日は土曜日、JR北海道の"一日散歩きっぷ"が使えます。利用できるのは普通列車だけですが、元々札幌から小樽乗り換えニセコまでのこの路線は、普通列車しか運行されていませんので問題ありません。この切符を使えば往復で\2,200・・・これは通常の片道運賃分くらいですからかなりお得です。
もっともそうした運賃がお得なことよりも、実は今まで小樽の先の余市~長万部間の列車に乗車したことがなかったので(今まで何回かニセコに行っていますが、いつもバスか車だったので)、これを機会に乗ってみようと考えました。

さて小樽で長万部行の始発列車に乗り換え。
一両編成のワンマン列車はかなりの混雑。三分の一くらいは登山客で、チョッピリ嬉しくなります。北海道の列車では、学生パーティ等を除けばほとんど登山姿の乗客を見掛けず、なんだか寂しい感じがしていましたから。

・・・というわけで、ニセコアンヌプリスキー場に到着したところから写真を中心に・・・

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スキー場の夏季ゴンドラに乗り、少しだけ歩くと"1000m台地"と名付けられた展望台です。
ここからの羊蹄山は、まさに蝦夷富士と呼ばれるにふさわしい立派さ。
ゴンドラを降りてすぐの展望台からは羊蹄山が展望できます

視界のないトレイルを歩き続けて、視界が開けると、もうすぐそこがアンヌプリの山頂です。
アンヌプリ山頂まではもう少し

山頂からは360度のパノラマ。最高の眺めです。
写真は 岩内町方面の展望です。写真ではわかりにくいですが、日本海から積丹方面もハッキリと見て取れます。
アンヌプリ山頂から岩内・積丹方面を遠望。写真じゃわかりにくいですが、日本海もはっきり見えました

今度は逆方面。登ってきた方角を振り返りますが、写真のピークはアンヌプリ南峰ですが植生保護のためこのピークは踏まず、ルートはピークを巻いています。
登ってきた方角を見返します(このピークは巻いて登ります)

山頂を後にして、五色温泉郷へ下ります。
下る前にもう一度山頂を振り返ります。
さて下山。もう一度山頂を振り返ります

目指す五色温泉郷まで、ひたすら下ります。
五色温泉。ここまで一気に下ります

写真はイワオヌプリ。登るには一旦五色温泉郷まで下ってから登り返さなくては行けないことが残念。数年前に一度歩いていますので、今回は時間の関係でパスしました。
イワオヌプリ。登るには一旦五色温泉へ下らなくてはなりません

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さて五色温泉へ到着しましたが、微妙な時間。
せっか く五色温泉へ降りたのですから、久しぶりに(5年ぶりくらいです)源泉かけ流しの硫黄泉でゆっくり過ごしたいところですが、五色温泉からニセコ駅方面へ向 かうバスは14時と16時のみの2本。30分ほど待てば14時のバスに乗れますが、五色温泉は諦めることになります。一方、16時のバスならばそれこそ思 う存分温泉を堪能できますが、温泉以外何もないところですからやや暇を持て余してしまいそう・・・。
結局、この後の動きやすさを考えて、14時のバスで一気にニセコ駅まで向かい、駅前の「綺羅乃湯」という温泉施設で汗を流すことにしました。

でもこの決断については、後になってちょっぴり失敗したかなという気も。
綺羅乃湯・・・・設備は新しく清潔で立派ですし、とても快適な温泉です。料金もリーズナブルだし、併設されたレストランで飲食もできます。その意味では何の問題もありません。
た だこの"設備が新しく清潔で立派"というのが、そうした温泉は札幌市内近隣には多く、また(交通の便の関係で)そうした温泉を利用する機会が多い僕には、 なんだか新鮮味に欠けるような感じがしてしまったわけです。どうせなら、どっぷりと硫黄泉で山の風景を眺めながら秘湯感を味わった方が良かったかな?と。
つまりは温泉施設の問題ではまったくなく、僕の個人的事情というわけ。

温泉で汗を流し、ニセコ駅のレストランで期待以上に美味しいカレーを頂いた後は列車が到着するまでの時間を、駅のベンチでぼんやりとして過ごします。こうした時間も退屈だけど、なんだか好きなんですよね・・・旅!ってな感じがして・・・。
やがて到着した帰りの列車も一両編成で、ニセコ駅から乗り込んだ乗客で行きと同様の混雑具合でした。
車窓から眺めていた空は徐々に夕焼け空へと変わり、やがて小樽に到着した時には夜の空へと変わっていました。


<おまけの2枚>

ニセコ駅からのアンヌプリ。下山後に、こうして登った山を振り返るのはイイものです。
ニセコ駅のホームから今日登ったニセコアンヌプリを望みます

ニセコ駅のホームからは、羊蹄山の山頂が見えました。
ホームから振り返ると、羊蹄山の山頂も見えました