旅の日は遠く ― 2009年07月01日
このブログを書き始めた時は、メインテーマは「旅」と「自然」、そして自分の「趣味」に置くつもりでいた。だが1年以上経ち、気が付いてみるとそのほとんどが「雑記」に代表される日々の雑感だったりなど、変化のない日常生活ばかりになっていた。
ちなみに補足をすると、僕が言う旅とは一般的なカタチの旅ばかりでなく、例えば「山登り」なども旅の一つとして考えている。つまりは日常の繰り返しの生活から離れた時間を過ごすとき、それが広い意味での旅だという考え方だ。
だからこうして自身のブログを振り返ると、そうした旅の時間とはなんだか正反対の時間を過ごしていたような気がしてくるのだ。
僕は札幌に住むようになるまでは、とにかく暇さえあれば旅に出ていた(これは一般的な意味でも、上に書いたように広い意味でも)。
長期の休みともなれば、バックパックを背負って宿も取らずに旅に出たり(そもそも最初から宿に泊まることは考えずに寝袋とテントを持って出掛けることも多かった)、仕事が一段落あるいは仕事から逃げ出したくなると、旅に出ることをすぐに考え始めていまっていた。
おかげで、全都道府県の中で足を踏み入れたことがない県は、宮崎県と愛媛県の二県を残すのみで、他は何らかの形で足跡を残している。
札幌に住むようになってみると、旅に出る回数は激減した。
出張や帰省を別にすれば、札幌市内から外に出ない月も多い。
もちろんこれは「長期休みが帰省に費やされるため」という理由もあるのだが、実は一番大きな理由は、札幌で生活をすること自体がまだフワフワとした非日常の中にあるような気がしているからなのかも知れないと思っている。つまりは札幌での生活そのものが、未だ"不安定な旅の空の下"にあるという感覚。
でも振り返ってみると、常にどこかにマンネリ化した日常が潜んでいるわけで、いつの間にか"飽き"のようなものが少しずつ芽生え始めて来た。
そんな無意識な思いから「何かを変えてみよう」と考え、実行したのが昨年秋の引越だったということに最近思い至った。
今年の春先あたりから、無性に旅に出たくなってきた。
出張でもなく、帰省でもなく、"プチ"が付く旅でもなく、ゆっくり、のんびり、旅の時間の中で埋没するように過ごしてみたいと考え始めた。
そう思い始めてから3か月。
未だ旅の日は遠くにあるが、こんなことを思い始めたのも、きっと僕の札幌暮らしがようやく「非日常から日常へ」と、変わりつつあるからなのかも知れない。
ちなみに補足をすると、僕が言う旅とは一般的なカタチの旅ばかりでなく、例えば「山登り」なども旅の一つとして考えている。つまりは日常の繰り返しの生活から離れた時間を過ごすとき、それが広い意味での旅だという考え方だ。
だからこうして自身のブログを振り返ると、そうした旅の時間とはなんだか正反対の時間を過ごしていたような気がしてくるのだ。
僕は札幌に住むようになるまでは、とにかく暇さえあれば旅に出ていた(これは一般的な意味でも、上に書いたように広い意味でも)。
長期の休みともなれば、バックパックを背負って宿も取らずに旅に出たり(そもそも最初から宿に泊まることは考えずに寝袋とテントを持って出掛けることも多かった)、仕事が一段落あるいは仕事から逃げ出したくなると、旅に出ることをすぐに考え始めていまっていた。
おかげで、全都道府県の中で足を踏み入れたことがない県は、宮崎県と愛媛県の二県を残すのみで、他は何らかの形で足跡を残している。
札幌に住むようになってみると、旅に出る回数は激減した。
出張や帰省を別にすれば、札幌市内から外に出ない月も多い。
もちろんこれは「長期休みが帰省に費やされるため」という理由もあるのだが、実は一番大きな理由は、札幌で生活をすること自体がまだフワフワとした非日常の中にあるような気がしているからなのかも知れないと思っている。つまりは札幌での生活そのものが、未だ"不安定な旅の空の下"にあるという感覚。
でも振り返ってみると、常にどこかにマンネリ化した日常が潜んでいるわけで、いつの間にか"飽き"のようなものが少しずつ芽生え始めて来た。
そんな無意識な思いから「何かを変えてみよう」と考え、実行したのが昨年秋の引越だったということに最近思い至った。
今年の春先あたりから、無性に旅に出たくなってきた。
出張でもなく、帰省でもなく、"プチ"が付く旅でもなく、ゆっくり、のんびり、旅の時間の中で埋没するように過ごしてみたいと考え始めた。
そう思い始めてから3か月。
未だ旅の日は遠くにあるが、こんなことを思い始めたのも、きっと僕の札幌暮らしがようやく「非日常から日常へ」と、変わりつつあるからなのかも知れない。
映画 ハゲタカ ― 2009年07月05日
久しぶりに、映画館へ出かけた。
見てきたのは、"ハゲタカ"。
数年前にNHKでドラマ化され、初回放映時は視聴率は低迷したが、そのドラマの出来の良さに口コミで話題となり、やがて国際的なドラマの賞を受賞して認知度が広がった、そのTVドラマの延長線上にある映画だ。
新たな登場人物を別にすれば、主要な出演者もドラマ版と同じで、TVドラマを見ていた人にとっては違和感なく映画の世界へ入ってゆくことができる。
この"ハゲタカ"を知ったのは、原作となった真山仁さんの小説が最初だ。
小説を読み、その圧倒的なインパクトと主人公の存在感に、比喩でなく、寝る間を惜しんで読み終えたことを思い出した。
映画のタイトルはハゲタカだが、ストーリーはこの"ハゲタカ"ではなく、続編にあたる"レッドゾーン"という小説を元に組み立てられている。
実はこの"レッドゾーン"はまだ読んでいない。
読もうと思っているうちに、先に映画を見てしまったわけだ。
ただTVドラマ版のハゲタカがそうであったように、原作が下敷きになっていることはもちろんなのだが、原作とは違った印象を持った。
小説の世界としての面白さとドラマの世界としての面白さの違いなのか・・・だから、きっと映画を見た後に原作を読んでも、きっと楽しめるに違いないと思っている。
さてさて例によって、映画の中身については触れない。
きちんとしたレビューをするつもりもない(というか、できない。レビューは苦手なのだ)。
でも独特の空気感と余韻を感じさせる作り方は、この映画版でも同様で、いくつか必要性がよくわからないシーンがあったものの、最後まで飽きることなく見ることができた。
ところでタイトルのハゲタカ。
小説によれば、正しくはハゲタカという鳥は存在しないのだそうだ(ハゲワシという鳥の種類は存在するが)。
でもハゲタカという名前は、イメージしやすく、象徴的な鳥の種類だという気がする。鳥は実在しなくても、イメージや象徴としての"ハゲタカ”は世の中に存在しているのは確かだろう。
見てきたのは、"ハゲタカ"。
数年前にNHKでドラマ化され、初回放映時は視聴率は低迷したが、そのドラマの出来の良さに口コミで話題となり、やがて国際的なドラマの賞を受賞して認知度が広がった、そのTVドラマの延長線上にある映画だ。
新たな登場人物を別にすれば、主要な出演者もドラマ版と同じで、TVドラマを見ていた人にとっては違和感なく映画の世界へ入ってゆくことができる。
この"ハゲタカ"を知ったのは、原作となった真山仁さんの小説が最初だ。
小説を読み、その圧倒的なインパクトと主人公の存在感に、比喩でなく、寝る間を惜しんで読み終えたことを思い出した。
映画のタイトルはハゲタカだが、ストーリーはこの"ハゲタカ"ではなく、続編にあたる"レッドゾーン"という小説を元に組み立てられている。
実はこの"レッドゾーン"はまだ読んでいない。
読もうと思っているうちに、先に映画を見てしまったわけだ。
ただTVドラマ版のハゲタカがそうであったように、原作が下敷きになっていることはもちろんなのだが、原作とは違った印象を持った。
小説の世界としての面白さとドラマの世界としての面白さの違いなのか・・・だから、きっと映画を見た後に原作を読んでも、きっと楽しめるに違いないと思っている。
さてさて例によって、映画の中身については触れない。
きちんとしたレビューをするつもりもない(というか、できない。レビューは苦手なのだ)。
でも独特の空気感と余韻を感じさせる作り方は、この映画版でも同様で、いくつか必要性がよくわからないシーンがあったものの、最後まで飽きることなく見ることができた。
ところでタイトルのハゲタカ。
小説によれば、正しくはハゲタカという鳥は存在しないのだそうだ(ハゲワシという鳥の種類は存在するが)。
でもハゲタカという名前は、イメージしやすく、象徴的な鳥の種類だという気がする。鳥は実在しなくても、イメージや象徴としての"ハゲタカ”は世の中に存在しているのは確かだろう。
ポイントサイト ― 2009年07月08日
最近自宅へ帰り、PCを起動した後に、必ず行う作業ができた。
それはタイトルの"ポイントサイト"を巡回すること。
ポイントサイトとは、定期・不定期に届くメールやサイトのバナーをクリックしたり、あるいはサイトのゲームを楽しんだりすることで、ポイントがもらえるサイトのことだ。
1クリックでもらえるポイントは円換算で0.1円~1.0円程度(サイトやアクションによっても異なる)。
円換算にすると非常に小さな金額なので、換金するにしても、あるいは何らかの景品に交換するにしても、それ相応の期間と地道なアクションが必要なことは言うまでもない。
サイトによってはポイント保有の有効期限が設定されていたりもするので、クリックだけを毎日コツコツ行ったとしても期限内に換金や景品交換の最低ラインまで到達しない場合もあり得る。
そのため、一度に多くのポイントをもらえるアンケートに答えたり、様々な会員登録(たとえば家電メーカーのDM会員等)や資料請求などを行って、より多くのポイントを獲得するようにと努めるわけだ。
またネット通販が好きな人は、こうしたポイントサイトを経由して目的の通販サイトを利用することで、(一般的には)購入額に応じたポイントサイトのポイントを貯めることができたりもする(これがむしろメインなのだろうが)。
通販サイトとクレジットカードのポイントに加えて、さらにポイントサイトのポイントまで獲得できるわけだから、こりゃ利用しない手はないということになる。
さてそんなポイントサイトだが、冷静に考えればそれほど効率のよいものではない。
上に書いた通販の場合は単純に経由(アフェリエイト)するだけだから負担というほどでもないのだが、クリックなり、ゲームなりをやって貯めこむには、そこそこの時間が掛かる。
時間に換算して考えれば、とても労力に見合う収入とも思えない。
「じゃあ、なんでやってるの?」と思われるかも知れない。
人によって理由は様々だろうが、僕の場合は「気分転換になるから」という理由が大きい。それに地道にコツコツなのだが、少しずつポイントが増えてゆく様子を見ているのも、なんだか楽しい。
もっとも初めてからまだ数カ月程度なので、そのうちに飽きてしまいそうな予感もしてはいるのだが・・・。
僕は各ポイントサイトで貯めたポイントを最終的には集約して、JALやANAのマイルに交換することを目論んでいる(無料航空券の獲得のため)。
気分転換にもなり、わずかながら約得もあるポイント生活は、夜のひと時をビール片手に過ごすにちょうど良いアイテムだと思っている(今のところは)。
今夜もまた、マウスをカチカチッと・・・。
それはタイトルの"ポイントサイト"を巡回すること。
ポイントサイトとは、定期・不定期に届くメールやサイトのバナーをクリックしたり、あるいはサイトのゲームを楽しんだりすることで、ポイントがもらえるサイトのことだ。
1クリックでもらえるポイントは円換算で0.1円~1.0円程度(サイトやアクションによっても異なる)。
円換算にすると非常に小さな金額なので、換金するにしても、あるいは何らかの景品に交換するにしても、それ相応の期間と地道なアクションが必要なことは言うまでもない。
サイトによってはポイント保有の有効期限が設定されていたりもするので、クリックだけを毎日コツコツ行ったとしても期限内に換金や景品交換の最低ラインまで到達しない場合もあり得る。
そのため、一度に多くのポイントをもらえるアンケートに答えたり、様々な会員登録(たとえば家電メーカーのDM会員等)や資料請求などを行って、より多くのポイントを獲得するようにと努めるわけだ。
またネット通販が好きな人は、こうしたポイントサイトを経由して目的の通販サイトを利用することで、(一般的には)購入額に応じたポイントサイトのポイントを貯めることができたりもする(これがむしろメインなのだろうが)。
通販サイトとクレジットカードのポイントに加えて、さらにポイントサイトのポイントまで獲得できるわけだから、こりゃ利用しない手はないということになる。
さてそんなポイントサイトだが、冷静に考えればそれほど効率のよいものではない。
上に書いた通販の場合は単純に経由(アフェリエイト)するだけだから負担というほどでもないのだが、クリックなり、ゲームなりをやって貯めこむには、そこそこの時間が掛かる。
時間に換算して考えれば、とても労力に見合う収入とも思えない。
「じゃあ、なんでやってるの?」と思われるかも知れない。
人によって理由は様々だろうが、僕の場合は「気分転換になるから」という理由が大きい。それに地道にコツコツなのだが、少しずつポイントが増えてゆく様子を見ているのも、なんだか楽しい。
もっとも初めてからまだ数カ月程度なので、そのうちに飽きてしまいそうな予感もしてはいるのだが・・・。
僕は各ポイントサイトで貯めたポイントを最終的には集約して、JALやANAのマイルに交換することを目論んでいる(無料航空券の獲得のため)。
気分転換にもなり、わずかながら約得もあるポイント生活は、夜のひと時をビール片手に過ごすにちょうど良いアイテムだと思っている(今のところは)。
今夜もまた、マウスをカチカチッと・・・。
映画 MW(ムウ) ― 2009年07月11日
先週(7月5日)に続いて、映画ネタ。
今回は手塚治虫さん原作の"MW(ムウ)"という映画を見てきた。
実は”ハゲタカ”を見に行った際に、パンフレットを見かけて急に興味が沸いてきたのだ。
それにしても最近見に行く映画は邦画ばかりで、洋画はテレビやDVDで吹き替えされたものしか見ていないような気がする。
もちろん字幕も職人技で一瞬でセリフを読み取れるような工夫はされているし、臨場感の点でも吹き替えなしのほうが良いのだろうとは思う。
でも最近は、単純に字幕を追いかけるのが面倒になってしまって・・・年なのかなぁ?
話を戻して、今回のMW(ムウ)は手塚治虫さんの"生誕80周年"を記念した映画。今まで映画化は無理と言われてきたような禁断のストーリー・・・とまあ、こうした宣伝文句に僕は影響を受けやすい。
だが実のところ、原作となった漫画を見たことはないのでストーリーは知らない。手塚さんの漫画についてもほとんど知識がない。
ただ一つ、手塚さんの漫画で未だに強い印象を持っている漫画がある。
タイトルは「時計仕掛けのりんご」。
タイトルでピンと来た人もいるだろうが、スタンリーキュービックが監督をして映画化された「時計仕掛けのオレンジ」にヒントを得て、でもオリジナルとはまったく違う手塚さんの世界でストーリーが組み立てられた漫画だ。
盆地に位置する地方都市が自衛隊の反乱部隊に占拠され、その反乱部隊に一市民が戦いを挑む・・・といったストーリーだったと思うが、実はこの漫画を原作とした映画がいつか作られないかなと、密かに思っていたのだ。
今回見たMW(ムウ)は、原作が違うのだからもちろんストーリーも違うのだが、そんな思いもあって、関心を持ったわけだ。
細かい感想は省くが、映画そのものはスピード感があり、最後まで飽きることがなく見ることができた。原作を知らなくても十分楽しめる娯楽映画だ(最近あまり聞かないが、ピカレスクロマンとでもいうのかなぁ・・・)
ややクライマックスの弱さと安易さのようなものを感じないでもなかったが、それでも素直に面白いと思う映画だった。
さて次に見る映画は・・・夏の邦画三部作(僕が勝手に名付けただけ)の「アマルフィ~女神の報酬」あたりかな?
織田さんの意気込みすぎる過剰な演技はいつもあまり好きになれないのだが、原作の真保裕一さんは大好きな作家の一人なので、密かに期待していたりする。
今回は手塚治虫さん原作の"MW(ムウ)"という映画を見てきた。
実は”ハゲタカ”を見に行った際に、パンフレットを見かけて急に興味が沸いてきたのだ。
それにしても最近見に行く映画は邦画ばかりで、洋画はテレビやDVDで吹き替えされたものしか見ていないような気がする。
もちろん字幕も職人技で一瞬でセリフを読み取れるような工夫はされているし、臨場感の点でも吹き替えなしのほうが良いのだろうとは思う。
でも最近は、単純に字幕を追いかけるのが面倒になってしまって・・・年なのかなぁ?
話を戻して、今回のMW(ムウ)は手塚治虫さんの"生誕80周年"を記念した映画。今まで映画化は無理と言われてきたような禁断のストーリー・・・とまあ、こうした宣伝文句に僕は影響を受けやすい。
だが実のところ、原作となった漫画を見たことはないのでストーリーは知らない。手塚さんの漫画についてもほとんど知識がない。
ただ一つ、手塚さんの漫画で未だに強い印象を持っている漫画がある。
タイトルは「時計仕掛けのりんご」。
タイトルでピンと来た人もいるだろうが、スタンリーキュービックが監督をして映画化された「時計仕掛けのオレンジ」にヒントを得て、でもオリジナルとはまったく違う手塚さんの世界でストーリーが組み立てられた漫画だ。
盆地に位置する地方都市が自衛隊の反乱部隊に占拠され、その反乱部隊に一市民が戦いを挑む・・・といったストーリーだったと思うが、実はこの漫画を原作とした映画がいつか作られないかなと、密かに思っていたのだ。
今回見たMW(ムウ)は、原作が違うのだからもちろんストーリーも違うのだが、そんな思いもあって、関心を持ったわけだ。
細かい感想は省くが、映画そのものはスピード感があり、最後まで飽きることがなく見ることができた。原作を知らなくても十分楽しめる娯楽映画だ(最近あまり聞かないが、ピカレスクロマンとでもいうのかなぁ・・・)
ややクライマックスの弱さと安易さのようなものを感じないでもなかったが、それでも素直に面白いと思う映画だった。
さて次に見る映画は・・・夏の邦画三部作(僕が勝手に名付けただけ)の「アマルフィ~女神の報酬」あたりかな?
織田さんの意気込みすぎる過剰な演技はいつもあまり好きになれないのだが、原作の真保裕一さんは大好きな作家の一人なので、密かに期待していたりする。
【書籍】実録・老舗百貨店凋落 ― 2009年07月14日
実録・老舗百貨店凋落 〈流通業界再編の光と影〉 (講談社文庫)
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北海道新聞取材班
講談社
売り上げランキング: 38513
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【最初に注記】
この本を読み終わったのは5月頃だったと思います。
本の感想を記事にしようと思いつつ、途中まで書きかけたのですが、どうにも気が重いテーマでもあり、書き渋っている内に忘れてしまっていて、今頃になってしまいました。
でも札幌人の僕としては、どうしても触れておきたい本ということで、いささかタイミングを逸している気がしないでもありませんが、今回記事にしました。
【注記はここまで】
札幌の中心部を南北に分ける大通公園。
この大通公園に面して、札幌の老舗百貨店"丸井今井"の札幌本店がある。地元の年配の人たちからは、未だに「丸井さん」と"さん"付けで呼ばれるほど長年親しまれてきた百貨店だ。
その丸井今井も、度重なる経営危機を乗り越えてなんとか今年まで頑張ってきたのだが、ついに力尽き、およそ400億円の負債(別の報道では470億円とか細かく502億円などととしている記事もある。何れにしても多額の負債であることに変わりはない)を抱えて今年1月に倒産してしまった。
2005年の2度目の経営危機以降は、仕入れ関係で関係の深かった伊勢丹の支援を受けながら業績回復を目指していた経緯もあり、再建のスポンサーとして伊勢丹が確実視されていたが、そこに高島屋もスポンサーとしての名乗りを上げ、状況は混沌とし始める。
そして紆余曲折の末、スポンサーが「三越伊勢丹ホールディングス」に決定したというニュースが、5月連休の直前に流れた。
これにより不採算店舗の旭川店、室蘭店は閉店し、札幌と函館の二店舗で再生への道を歩みはじめることとなった。
ここまではネットで普通に拾える今年に入ってからのニュース。
そしてここからが表題の本の話だ。
この本は、北海道新聞社取材班が上に書いた2005年の経営危機までを追いかけてまとめ上げたノンフィクション。
札幌と言う地方都市にとっては、様々な点でシンボル的な存在の老舗百貨店だけに、その内容にも強い意気込みが感じられる本だった。
最終章は未来へ向けての提言で締めくくられる・・・だがその行末をすでに知ってしまっている今、読後にはなんとも虚しさのようなものだけが残ってしまった。もちろんこんな印象を感じてしまうのは、この本に問題があったからではない。悔しい思いをしているのは、そして虚しさを感じているのは、この本の執筆に関わった取材班の方たちも同じに違いない。
確かに予想を遥かに超えた流通業界の変化と経済環境の悪化があったことは事実。また(敢えて知ったかぶりで言わせてもらえれば)それらの変化へ対応して行けなかった丸井今井の経営陣が力不足だったことも事実なのだろうと思う。
何れにしても、とても興味深くまとまった本だというのに、その読後に、"晴れない気分"を感じてしまったことが残念だった。
丸井今井は7月いっぱい閉店セールを実施して、8月から再スタートを切る。従業員は全員一旦解雇され、"必要最小限"の人材だけが再雇用されることになる。
いつの日か再生が成り、"実録・老舗百貨店『凋落』"ならぬ"実録・老舗百貨店『復活』"というタイトルの本を読んでみたいものだ。その時こそ、きっと読後爽やかで、明るい気持ちになれるかも知れない。
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