深夜の満員電車に思うこと2008年09月11日

僕は実家にいた頃、東京まで通勤していたのだが、その通勤時間は片道1時間20分くらい掛った。
首都圏の電車の混雑は朝だけでなく、深夜になればなるほど、終電が近づけば近づくほど混雑し、でもそれが当たり前のように思っていた。いや当たり前と言うのは違うか。「しょうがないんだ」と諦めていたという方が正しいかもしれない。
札幌に移り住んでからは、片道30分程度。地下鉄に乗っている時間はほんの10分程度だ。最初の頃は、その通勤時間の一点だけでも「札幌に来てよかった」と思ったくらいだ。
ただ人って一旦慣れてしまうと、その乗車時間10分でも、時には「遠いなぁ。もっと近い方がよいなぁ」などと考え始めるからオソロシイ。

僕は夏休み。都心で人と会い、酒を飲んだ帰り道。
平日なので世間は普通通りに動いていて、新宿駅のホームは、いつものように人であふれている。
1本急行電車を見送り、2本目の急行電車の列に並んで、ようやく座る席を確保。文庫本を開いて読み始めるが、本には集中できず、ぼんやりとそんなかつての通勤時間のことを思い出していた。

寝不足が続き、手すりにもたれかかる様に立ったまま眠っていたときのこと。膝がカクッと落ちて、瞬間覚醒するのだが、またいつの間にか意識が遠のく。
目一杯利いているはずの冷房も全く用をなさず、湿度は100%に近い状態。首筋を伝う汗を拭きたいと思いつつも、ポケットに手を突っ込んでハンカチを取り出すだけのスペースの余裕もなく、とりあえず次の停車駅まで我慢だなと、イライラを募らせる真夏の雨の日。
なんだか良い思い出はこれっぽっちも思い浮かばず、辛かったり、苦労した思い出ばかりが思い出される。

なのに・・・・なぜか、そんな思い出が「懐かしい」と感じられる不思議さ。同じ状況に戻りたいと思うはずはないのだけどね。
結局、今の環境や状況が良かろうと悪かろうと、それを繰り返し続けることには飽きが来るのだろうなぁ。だから人は変化が欲しくなる。
と、ほんのちょっぴりだけ、そんな哲学的なことも考えたりする。

数年前に比べたら、列車の混み方もだいぶ緩和されたような気がする深夜の列車に揺られながら、酔った頭でそんなことを思っていた。